伊勢 朝熊山 江戸

て来る客のなかには好きな相手もできたし、伊勢の山田の御師の息子で、仁太夫という名のおとなしい若者には、

喜右衛門の伴れて来た女は名をうめといった。伊勢のくに松坂の者で、いちど嫁して子を生んだが、婚家との折合いが

に、環境が鄙びているし、うちかさなる丘陵のかなたに、朝熊山をのぞむすぐれた眺めがあるので、春秋には城下の人たちがよく遊山に

お伊勢参りの客に出ていた。三人づれの江戸の人で、裕福な商人とみえる中年の人たちだった。こちらにはよく

「おれはこれから江戸へゆく、そして人間らしい者になってくる、どんな苦労をしてもやりぬい

「これから江戸へいって人間らしくなる、なん年かかるか、人間らしくなって帰れるかどうか