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ひに長女は、良縁を得て、終戦の年に北海道札幌に家を持ち、長男は、今年大学の経済部を卒へて某出版社に就職

に亙つて、日本心理学会の秋季総会と研究発表が学士会館で行はれました。それを機会として全国から心理学専攻の学者教授連

もやつて来たぢやないか、あの八女陸郎だよ、九州のＢ大学にゐる……。あれからもう十年になるなあ。覚えてるだら

教授連が集つたのですが、そのなかに一人、はるばる九州から十年目に東京へ出て来たわたしの旧友がある。名前は申す

幸ひに長女は、良縁を得て、終戦の年に北海道札幌に家を持ち、長男は、今年大学の経済部を卒へて某出版社に

がすいたといつて、無理に相手を引つ張り出し、有楽町まで来て、一軒のすし屋へ連れ込んだのである。

で晩飯をすました。今日はそれでも、八女陸郎が銀座裏のおでんやへ彼を誘ひ、熱い燗を所望したまではいいが

を外すわけにはいかんからなあ。おれは、戦後の東京の夜なるものをちつとばかり見学しておきたいんだよ。君に

「さうだ、比較的少い。東京はその点、昔から苦学生の本場みたいなもんだから……。かく言ふ

ですが、そのなかに一人、はるばる九州から十年目に東京へ出て来たわたしの旧友がある。名前は申す必要もありません

二人は、地下鉄で浅草へ出た。