金貨 / 森鴎外

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地名一覧

荒川

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越した。三人連は、八には読めないが、荒川と書いた点燈会社の軒燈の点つてゐる、黒い冠木門のうちへ這入

の軒燈の附いてゐる、小さい門がある。これは荒川の家の筋向うになつてゐる、杉垣の家の門である。八はその

荒川の屋敷は、別当部屋と、それに続いてゐる厩とが、往来に接し

丈脱して、傍に引き附けてをられる。これがひどく荒川の気に入つた。荒川は甲越の戦争の頃の武辺話を聞いたこと

附けてをられる。これがひどく荒川の気に入つた。荒川は甲越の戦争の頃の武辺話を聞いたことがある。其中に或

Saint-Cyr で世話になつたからといふので、主人荒川に下さつたのである。最後に八は金入らしい革の入物を開けた

の頭字の A の字も、皆銀である。これは荒川が仏蘭西へ行つた当座、物珍らしい最中に、巴里の町で買つたので

ない。それにちつとも抗抵するやうな様子が見えない。荒川は張合がないといふやうな顔をしてかう云つた。

潜戸を背中にして、手持無沙汰に立つてゐる太吉に、荒川はかう云つた。

貨幣を隠さうなんぞといふ気は少しもない。それに荒川の四角な大きい顔で、どこか余裕のあるやうな処が、八には

。併し少しも陰険な処は無い。これを見てゐる荒川の顔はいよいよ晴やかになつた。

宇都宮

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。今宵来て泊つてゐる赭顔の安中大佐も、小男の宇都宮中佐も、主人の流義が好いと云ふので、内でも人の

安中と宇都宮とは、八の出した貨幣を見に出て来て、八に対し

貨幣を手に取つて見てゐた宇都宮が笑つた。

宇都宮は情報掛で、外国新聞を見てゐるので、こんな事を云つた

安中は西班牙の Piaster や葡萄牙の Tostao を宇都宮に見せて問うてゐる。

巴里

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。これは荒川が仏蘭西へ行つた当座、物珍らしい最中に、巴里の町で買つたのである。口は入違になつて銀の

千駄ヶ谷

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(例)千駄ヶ谷

て、継の上に継を当てた絆纏を着て、千駄ヶ谷の停車場脇の坂の下に、改札口からさす明を浴びてぼんやり立つ

新宿

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てゐた。這入つた男は別当で、これは隠れて新宿へ往つたので、二三町先からは、抜足をして帰つて

「何だ。又新宿へ行つたのか。けしからん奴だ。それでは其男が物を取