満洲 福島 奈良 新潟 長野 東京 浅草 銀座

伴ひ来る。ウヰスキー持参。Ｎ君は戦闘機隊員、終戦で満洲から飛行機で逃げてきた由。猛暑たへがたし。畳の上へ、ねむる。

新生社の福島氏来訪。小説三十枚、ひきうける。文芸時評は、ことはる。若園清太郎君

ず、といふ自然の結果になつてしまふ。久米邦武の奈良朝史をノートをとりながら読む。深夜になほ酷熱。水風呂にはいり、やうやく

新潟の兄、上京。かすかに、雨あり。いさゝかも涼しくならず、かへつて

本を送つたなんて無茶な話だ。夕方から涼しくなる。長野の兄社用で上京、夜益々涼しい。久々の涼気。今日はたつた一度

午後、尾崎士郎氏より速達、東京新聞の時評の感想。雨のはれまにタバコを買ひに駅前へ。

猛暑。尾崎一雄君より速達、東京新聞の時評を送つてくれ、といふ。速達で返事を送る。今日

たつたそれだけ路上を歩いたゞけで、会つた人、東京新聞寺田、改造西田、新聞報柴野、若園君とその友人某君と酒を

た。北支から引揚げてきた人だ。全然素人で、浅草の芝居を見て、こんなものなら自分も作れると思つたといふのだ

親類の人の紹介状をもつて、浅草向きの軽喜劇の脚本を書きたいから世話をしてくれ、といふ人

た。いづれ新日本社へ遊びに行き、一緒に菊岡久利の銀座の店をひやかす約束をする。そのとき岡本潤に会へるやうにして