東京市 島原 入谷 丹波 江戸 赤坂 根津 巴里 深川 大久保 東京 銀座 目黒 浅草 新橋 湘南

東京市経営の水道は炎暑来って水最も入用の時水切れとなり電燈は初更深夜の

にかの殺風景なる三聯隊の兵舎の聳ゆるなくんば東京市内の空地の中風光絶佳の処となすも決して過賞にあらざるべし。余市

諫むるもの人気取りの論文にあらず。幕府兵を用いて島原を攻めしは誠意国の禍を除き民をして安からしめんと欲せしが

出で来れるもの。「狂言娘」は根津に「黒蜥蜴」は入谷の辺に「骨盗み」は目黒に住われたる事あるが故に出で来れる

警察干渉の手を大本教に加う。此れが為に丹波の邪教いよいよ信者を増すべし。森戸先生罰せられてクロポトキンの名却て世に

もの何を苦しんで芸妓の顰に倣わんとするや。江戸ッ児は意気地を尊ぶ。興行師の言う処御無理御尤となすが如きも

天明時代の朴訥を慕えり。明治に残存せる老爺は江戸の勤倹を称し大正の老人は明治時代の現代に優れるを説いて止まず。

空地は崖に臨み赤坂の人家を隔てて山王氷川両社の森と相対し樹間遥に四谷見附の老松

し事あるが故に出で来れるもの。「狂言娘」は根津に「黒蜥蜴」は入谷の辺に「骨盗み」は目黒に住われたる事

携うるものあり。皆流行に従って法あるが如し。巴里の街頭は世界各国の風俗を見る処然れども未だステッキを佩剣の如くなすもの

尠からずと。宜なる哉其の傑作「浅瀬の波」は深川砂村の辺に住われし事あるが故に出で来れるもの。「狂言娘

として走るものに非ざるが故なり。曽て浅草奥山深川八幡宮等の境内に雲雀山痩右衛門なぞと称して独相撲を取って

今年草廬を麻布に移すやこの辺の地味花に宜しき事大久保の旧地にまさる事を知る。然れどもまた花を植えず独窓に倚り隣家

栄華に安んじて其の治むる道を講ぜざれば事皆東京市の道路の如くならん。余既に病み夙に老ゆ。自ら悲しみに堪うる

代うるに蝙蝠傘を以てするやここに年あり。当時東京市中の散策記日和下駄の一書を著し大に蝙蝠傘の杖に優る事

東京市の道路は甚乱雑汚穢なり。此を攻撃する新聞社の門前は更に乱雑

東京市経営の水道は炎暑来って水最も入用の時水切れとなり電燈は初更

にかの殺風景なる三聯隊の兵舎の聳ゆるなくんば東京市内の空地の中風光絶佳の処となすも決して過賞にあらざるべし

ざれば却って眼力を損じ神経衰弱症を起すべしと。即ち銀座の老舗松島屋に赴き老眼鏡を購い帰り来って試みに机上の一書を開く

一夜涼風を銀座に追う。人肩を摩す。正に是連袵幃を成し挙袂幕を

見る処然れども未だステッキを佩剣の如くなすもの非ざるべし。銀座は極東帝国の街衢なり尚武の国風自らステッキに現わる。

は余輩の見聞にして誤らずんば明治四十年頃銀座辺の宿車より初まり一二年にして市外近郊の辻車まで皆これ

て数え難し。而して缶詰ビスケット化粧品の類最も甚し。試に銀座の明治屋に赴きてジャムを購わば缶詰の体裁英国ＣＢ会社の製品に

根津に「黒蜥蜴」は入谷の辺に「骨盗み」は目黒に住われたる事あるが故に出で来れるものなるべし。小説を作る時

人情亦一変すべし。吉原の公娼新橋の芸妓をさし置きて浅草の白首を退治するが如きは蓋し本末を誤るの甚だしきものというべし。

凌がんとして走るものに非ざるが故なり。曽て浅草奥山深川八幡宮等の境内に雲雀山痩右衛門なぞと称して独相撲を

の風習道徳凡て改まり世態人情亦一変すべし。吉原の公娼新橋の芸妓をさし置きて浅草の白首を退治するが如きは蓋し本末を誤るの

初て老眼鏡を掛けられし頃の事なり。時に一家湘南の別墅豆園にありき。府君松下の榻に倚り頻に眼鏡を