お美津簪 / 山本周五郎

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地名一覧

小泉町

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厳しい手配らしい。――正吉は本所御蔵の堀へ抜け、小泉町の方へ引返して両国へ出ようとした、然し表通りへ出る前に、行手

眼鏡橋

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出島の異人館の旗が見える。諏訪神社の山も、唐風の眼鏡橋も……まるで覗絵を見るように見えて来る。

九州

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「間違ったら御免なさい、――おまえさん生れは九州の方じゃあありませんかい」

江戸

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初めて江戸へ出て来た時の事が思われる、十二の年だった。故郷の

の筑紫屋茂兵衛の店へ奉公に入った。筑紫屋は江戸でも有数の唐物商(現今の貿易商)で、日本橋本町に間口十二間の店

海上無事を祝ってくんねえ、――明日の朝あもう江戸ともおさらばだ。十二年振りに帰る長崎、変ったろうなあ、眼をつぶる

晩に簪の二つや三つ、泥まみれになるのは江戸じゃあ珍しかあねえ」

根岸

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を定めていた茂兵衛はひどく怒った。お美津は直ぐに根岸の寮へやられ、正吉は懲しめのため、一年間小僧と同じ走り使いに

両国

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――正吉は本所御蔵の堀へ抜け、小泉町の方へ引返して両国へ出ようとした、然し表通りへ出る前に、行手を御用提灯で遮られた。

たった一度。よろめく足を踏みしめ踏みしめ、凩の中を両国の方へ――。

長崎

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時の事が思われる、十二の年だった。故郷の長崎から父に伴われて来ると、同郷の筑紫屋茂兵衛の店へ奉公に

「――あの雁の行く方に長崎がある」

「長崎、……長崎、――おっかさん※」

「長崎、……長崎、――おっかさん※」

「そうだ、長崎へ帰ろう、どうせもう半年さきも覚束ない体だ、故郷の土を踏んでから

回船問屋へ行って訊くと、幸い明日の朝七時に長崎向けの船が江戸橋から出ると分った。然もそれは年内で最後の船

どんな事をしても長崎へ帰ろう! そう思案を決めた。然しこの体ではとても歩く旅は

「へえ――よく分るな、おらあ長崎だが」

「そいつあ懐しい私も長崎だ」

居酒屋の亭主が長崎と聞いて、正吉は更に更に帰心を唆られたのである、そして、

――捉まってなるか、どんな事をしたって一度長崎へ帰るんだ、ひと眼おっかさんに会うんだ、どんな事をしたって

だがおらあ逃げる、石に噛りついたって逃げてみせる、そして長崎へ……」

「――長崎へ、帰りたかったのです」

「貴様に遣るのではない、長崎で待っているお袋さんに遣るのだ、……お美津は今夜、小梅の

「長崎は暖い土地だ、生れ変った気で養生をしてみろ。そして一度でも

「おらあ明日の朝長崎へ帰るんだ」

朝あもう江戸ともおさらばだ。十二年振りに帰る長崎、変ったろうなあ、眼をつぶると見えるようだぜ」

「正吉も長崎へ帰ります、そして――真人間に、昔の正吉に生れ変って来ます

。それを発見したのは、その朝そこを出帆する長崎船「八幡丸」の船頭だった。

天保十一年十二月十七日朝の七時さがり、長崎船の八幡丸は、この奇妙な死体の横たわっている岸を離れて、