ひな勇はん / 宮本百合子

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地名一覧

京都

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て居た。「お百合ちゃん」私はいつでも斯う京都に行ってからは呼ばれて居た。お妙ちゃんの家は私達の

勇本名は山崎のお妙チャンと云う子だった。純京都式の眉のまんまるくすりつけてあるひたえのせまい、髪の濃い口のショッピリとし

た。祖母の弟の家にやっかいになって居てすっかり京都式にその日その日と暮して居た。夜のはなやかな祇園のそば

いつでも黒い被衣を着て切下げて居た祖母と京都に行って居たのは丁度六月末池の水草に白い豆の様

んだもの……。若しあんまり二人で別れんのがつらかったら京都の娘になっちまいましょう、ネ、そうすりゃあいいんだもの下らない事

東京

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「東京の話してちょうだい」

とこだワ、こんな加茂川もなければ都踊りだってなし私東京よりよっぽどここの方がすき」青いたたみを見つめながら斯う云うのを、

なんかはなさないから――いつまでも仲よくしてられますとも東京に帰っても、――どこのはてまで行ってもさ」「でも

あるワ、けど……こんなに今仲ようしててもあんた東京に帰っておしまいやはったらもう、ここ一足はなれたらサッパリ忘れて御仕舞

ちまわない?」「あんまりありすぎるやさかえ……でもわて東京のいとはんに会ったのあんたがはじめてやさかえうれしいワ、ほんと……

踊りに出る日だった。私はもうこれっきりと思って東京にかえる着物を着て一番よく見える所をと選んで座った。幕の

新橋

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ながら夜の白むまでまんじりともしなかった。斯うして新橋におろされた私は久しぶりでせわしい目まぐるしい様子を見ながらもお妙ちゃんの