新しきシベリアを横切る / 宮本百合子
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新しきシベリアを横切る
な黒い密林のかなたへ遠くツグミの群がとび立った。今シベリアを寂しい曠野と誰が云うことが出来よう。
まわし、繩をゆるめて水を汲みあげる仕掛になっている。シベリアの方でも田舎の井戸はこんな形だった。
――シベリアにはもう雪がありましたか?
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いよいよモスクワ出立、出立、出発!
エカテリンブルグ=スウェルドロフスキーを通過。モスクワ時間と二時間の差。進んだのだ。列車は石造ステーションの二階に
バラビンスキー停車場内鉄道従業員組合ウチーク・そこが編輯所である。モスクワ発行の『イズヴェスチア』『プラウダ』なんかはもうどんなにしたって二十五日以後のもの
ない。我々は特急にのっている。我々の列車が、モスクワを出て三日目だのに既に十八時間遅れながら、社会主義連邦中枢よりの
党員がドイツ語、英語、ロシア語でやっているのだ。(モスクワを立つ前、こんな事件があった。何処かの工場でアメリカ技師を招聘し
昨夜スウェルドロフスキー時間の午前一時頃ノヴォシビリスクへ。モスクワでウラジヴォストクまでの切符を買う時ノヴォシビリスクで途中下車をするようにしようかとまで思っ
た。大きい経済地図があるのを鞄から出して見る。モスクワは地図の上で赤ボッチ。自分達はシベリアの野と密林の間を一
モスクワを出た時車掌が入って来て、急いで窓のシェードを引きおろし、
――モスクワへ帰るとみんな調べうけるんですか?
風景は、モスクワを出た当座の豊饒な黒土地方、中部シベリアの密林でおおわれた壮厳
我々の列車もモスクワを出て九日目。ハバロフスクの手前を走っている。
青年の遠征隊と一緒に、特別仕立の列車で文化宣伝にモスクワを立った。
だ。すっかり極東時間――日本と同じ時間になった。モスクワでは、時々夜おそくなるまで何かしていてふと思い出し、
食堂車内は今夜賑やかだった。ずっとモスクワから乗りつづけて来たものは長い旅行が明日は終ろうとする前夜の軽い亢奮
モスクワからウラジヴォストクまで九千二百三十五キロメートル。ソヴェトは五ヵ年計画でここに新たな大製麻工場を