ニューヨーク ロンドン 巴里 千葉 お茶の水 目白

私として第一次欧州大戦が終った丁度そのときニューヨークに居合せたことは、稀有な歴史的情景とともに、どっさりのことを考えさせ

私は云うに云えない感想をもって、ロンドンのセント・ポールの大寺院の前に佇んでいた。大戦のときの無名

いる。イギリスの公園と云えば世界に有名だけれども、ロンドンの東部の公園では、遊んでいる子供も大人も顔色から言葉つきからその骨組

（例）巴里

巴里の凱旋門の下では、夜も昼も無名戦士の墓辺の焔が

の上で殆どいつも女であった。これは、花の巴里というところのどういう現実を語っているのであったろうか。

千葉安良先生は、今どこで、どのように生活していらっしゃるだろう。

は知らない。けれども、私の生涯のあの時代に、千葉先生が居られたということは、今日も猶一種の感動なしに思い出せ

のなかに、同じようなメリンスのたすきをこしらえて、丁度千葉先生がそれを結んだように房さりと結んでかけていたひとが

ていいくらい、千葉先生には好意をもったと思う。千葉先生は毎朝の体操のときに水色メリンスのたすきをかけた。すると、

生徒たちは、おそらく一人のこらずと云っていいくらい、千葉先生には好意をもったと思う。千葉先生は毎朝の体操のときに

それが、千葉安良先生であった。学校の空気には、抑えても溢れる若さに

さし向いでいるような集注で、西洋史の時間をすごした。千葉先生の歴史は、歴史というものが複雑多岐なる人間交渉をめぐって展開

千葉先生には、何もわかっていなかっただろうが、私としては

千葉先生が熱心に教えられるその眼を見ると、感動が心に湧いた。

」の影響とトルストーイの作品が私の成長の糧で、千葉先生には、課外の読書のことで放課後、たまに三十分ぐらい話を伺う

五年生になって、千葉先生は教育をうけもたれ、心理学の講義がはじまった。ごく初歩の概論だっ

。一人の人間の裡にある可能を十分にのばそうとする千葉先生の偏見のない若々しい誠意が、私のうちのまともなものを急速に

それには千葉先生が担任でなくて、一定の距離と自由のある位置にいられた

に一学期ほどいて、やめた後だったと思う。千葉先生と河崎なつ先生とが、桑田芳蔵博士の教室で心理学の勉強をさ

ことが念頭に微塵も浮ばなかったほど、私にとって千葉先生は敬愛すべき方であった。だが、恐らくは、女高師を

その間に転変した女性一般の生活の大きな変化は、千葉先生と私との間をもいつとはなし吹きわけることとなった。どちら

二十余年も前、お茶の水の女学校の先生をして居られた、この一人の女性の名を

女学校がすんで、目白の日本女子大の英文科の予科に一学期ほどいて、やめた後だった