神楽坂 小石川 目白台 牛込 東京 銀座 神田 江戸川橋

目白台へ住むようになってから、自然近いので山伏町、神楽坂などへ夜散歩に出かけることが多くなった。元、椿山荘のあった前

のを遙か中空に見上げながら、だらだら坂をのぼって左、神楽坂へ行く。時には、神田辺へ行った帰り、廻って逆に音羽通

戻って来ることなどもある。――本郷辺にいると神楽坂は全く縁遠い場所だ。どうせ電車にのって下町に出る位なら、賑かな人通り

ない限り外国に在る街同然知らないで過ごす通り、牛込、神楽坂などに縁遠かった。

て散歩するうちに、何となく感じたのだが、神楽坂というところは、何故ああ店舗も往来も賑かで明るいくせに、何処か

ことに、私は牛込区という名をきくと、決して神楽坂ばかりでない牛込全体をどうしても茶色と連想する。どうしてだか

友達と神田からぐるりと九段を抜けてその茶色っぽき神楽坂に出た。そして、段々矢来の方へ来ると、彼処を通ったことの

小石川――目白台へ住むようになってから、自然近いので山伏町、神楽坂などへ

小石川――目白台へ住むようになってから、自然近いので山伏町、神楽坂などへ夜散歩に

きっかけのない限り外国に在る街同然知らないで過ごす通り、牛込、神楽坂などに縁遠かった。

でしまう。そんな心持がする。奇妙なことに、私は牛込区という名をきくと、決して神楽坂ばかりでない牛込全体をどうしても

は牛込区という名をきくと、決して神楽坂ばかりでない牛込全体をどうしても茶色と連想する。どうしてだか茶っぽい。他

のルートの工合で、動き廻る道筋を制御される我々は、東京の他の沢山の隅々を、何か特別なきっかけのない限り外国に在る

に出る位なら、賑かな人通りをぶらつこうと云う位なら、銀座まで一息にのす。歩く道なら大学赤門前から三丁目がある。電車の

だか茶っぽい。他の色が浮ばない。丁度昼間の銀座ときくと、日光に反射する乾いた白灰色の平面しか思い出せないように

だらだら坂をのぼって左、神楽坂へ行く。時には、神田辺へ行った帰り、廻って逆に音羽通を戻って来ることなども

八月の或る晩のことであった。私は友達と神田からぐるりと九段を抜けてその茶色っぽき神楽坂に出た。そして、

あった前の通りをずっと、講釈場裏の坂へおり、江戸川橋を彼方に渡って山伏町の通りに出る。そして近頃、その通りのつき当りに