小祝の一家 / 宮本百合子
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東京
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をやったがいつ金を送ってよこすつもりかと書き出し、東京で貴様はどんな偉い運動をやっているか知らんが、こっちでは一家
内職でもやれば、どうにか食っては行けるだろう。東京へ出て来て、自分らの暮しを見ればいいんだ。勉は
で、貞之助がますます食いつめるであろうことは目に見えた。東京へ出て、勇が働き、貞之助は納豆でも売り、祖母ちゃんはその
この祖父ちゃんも遂に他人にまざってものを喋り、馴れぬ東京の街を歩きまわらねばならないことが起って来た。A市に
に当る勘吉は十何年来町役場の書記を勤め、東京にあるたった一軒の親戚であった。勇の月給十七円の中から
それは祖父ちゃんが東京へ出てから初めて乙女の聞く沁々した調子であった。
ないと云うなら、家を逃げ出すまでだと云って、もう東京に出ていた勉のところへ来たのであった。
「――男が、三十近くんもなって、東京さいて、こげえなもん着て歩かねばなんねえとは――甲斐性
上野
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勇。それにミツ子。これだけの人々が、間もなく上野のステーションから様々な色と形の風呂敷づつみと一緒に無言のまま小祝の
新宿
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。が、せめてこういう路でも歩いているうちに、新宿へ女給見習に通っている乙女はやっと人心地にかえるのであった。
京橋
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飾窓に眺め入っていた勇が、一ヵ月ほどして、京橋の方にある会社の給仕に雇われるようになった。二ヵ月払い五