日記 03 一九一六年(大正五年) / 宮本百合子
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午後から古本屋へ行く。神保町から駿河台までズーッと屋並みに歩いて見るけれどもどうしてもあんまり好いのがなかった。
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の産物だった「二十三番地」と「追憶」を父が箱根の次手に熱海に居られる坪内さんの所へ持って行って下さる筈になっ
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九日 安積へ来る。午後六時五十分夏目漱石先生死去せらる。
十五日 御祖母様と飯坂角屋へ来る。十九日安積へ帰って来る。
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をズーッと巻きつけて、古びた着物をつけ、どう見ても大阪あたりの女優のような人が居た。
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お送りに行く。途中雑誌を買い新橋の博品館で手袋を買って行ってあげる。
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十一時前までに平河町まで行けなかったので、ボイドの作文はやすむ。一寸も雨は小降りになら
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と肉の調和、自愛と他愛の最もよき折合、イブセンの第三帝国を建設すべく□□努力して居ると云う事を明かに知り得た。
下さる。夜は書かずに明晩の分までよむ。イブセンの第三帝国の所で、キアルケガアルドが真理は主観であると云う事を云って居たと
しからずんばすべて」と云った言葉には動かされる。第三帝国に於てイブセンも亦超人を持ったのではないか。
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あんなに大人になって居るので可笑しい心持がした。天王寺の方へ行って見ることにして、おいくさんと娘と五人で
の別邸がある。妾の所有になって居るそうだ。天王寺は、すっかり山かげになって居て、朝の霜がとけずに居る。大変
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〃 行人 1 150
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すごしたいと思う。どうかして左様ありたい。父上北海道出発。母上歌舞伎。
二十二日 父上北海道御出発
人が非常に信用して居た医者が丁度その悪いころ北海道に居て、或夜非常に淋しい苦しい気がしてどうしても眠られ
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帰りに Little Women. 55 を買って来た。一昨日から青山でスミスが人民の心を熱狂させて居る。ああなると単に飛行機のりと
青山へ母上と英男と行く。電車の中に居る女を見ると、皆後姿
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ばならないんだからよろこんでするのである。明日は千葉先生へ手紙を書こう。この頃の内心の動揺を云わずには居られない
満ちて居る。静かにじりじりと努力して行ける。私は千葉先生に対しての愛情がはげしくはげしく動いて居る。明日は書きかけのものを
気をつけられずに月日を記入なさいとだけである。千葉先生に云って上げたいと思わずには居られない。作文「三十日の
〔書信〕千葉先生へ出す
されて居ると云う事は真にうれしい事である。千葉先生丈は私の始終の同情者であると云う事を信じるのである
千葉先生がこの間の手紙の返事として、「帰りにでもいらっしゃい」
今日は同級会の日で千葉先生のお話だと云う。私は伺って来たかったけれ共あの無智な
明日午後一―三時千葉先生へ
地理試験、千葉先生出席、女子大学入学の事を甫守に話す。
千葉先生がズーッと欠席していらっしゃった事を知ってびっくりした。でも今日
明日学校の帰りに図書によらずに来て夕方までに千葉先生のを幾分なりとも書き、夜は文法と作文を書いて小此木先生
明日は千葉先生のへかき、夜から夕方は創作を進めなければならない。夜は
て居たので何にも書けなかった。午後中掛って千葉先生のを書いてしまったので少し安心になった。本田の道っちゃん
千葉先生のを出した。夜十四をかきかけて右の目の工合が悪い
千葉先生の教育の答案が返って来る。
心持なんかもよくは分って居ないのだから……。千葉先生がお目出とうと云って下さったのはうれしかった。
関根先生千葉先生へ行く。御留守、帰りに文房堂に万年筆を持って行って見せ
千葉先生と堺先生の御話をして来る。「貧しき人々の群」を
千葉先生に御目にかかって来る。日曜の午後は居るとおっしゃった。
帰りに千葉先生に門のところで御目にかかって御一緒にかえる。
千葉先生にも御目にかからなかった。
夜千葉先生へ手紙を書く。
千葉先生へ手紙のつづきを書き出す。
二十四日 千葉先生へ手紙
何かしなければ実際にたまらないと思う。強い嵐で千葉先生へも行かれず、どこにも行かれなくなって仕舞った。妙
蜷川氏より、成井氏より 成井先生、千葉先生へ
千葉先生から御返事を下さる。大変に長い尊いものであった。まことにうれしい。
千葉先生の所へ行く。天気が照ったり曇ったりして居るのでいやで
たりくもったりして居るので雨がさを持って行く。千葉先生へ上った話なんかをして、かえりに『新訳源氏』をかって
おやじの様なのが居た――に休み、坪内、千葉、東京の家へと絵葉書を出す。ステーションで一人久米氏そっくりの大学生で
二日 千葉先生より大変長く立派なお手紙をいただいた。
八日 千葉先生へ行く。坂本氏から手紙。
御馳走 7人 2, 下の者へ 6円千葉小此木先生 9. brothers 10予備 50本
つもりでやるのだ。アッと云わせるものが書きたい。千葉先生へなかなか上れないから手紙をあげようかとも思う。
になった。ドストイェフスキーをよんで見ろとまで云ってある。千葉先生の経験的人生と、生物学□□的倫理観をよむ。
て来た。「鈍色の夢」に関して少し考える。千葉先生のところへ御返事をあげたいと思ったけれども、十七日午前に坪内
。すりつけた眉をしきりに指でさわって居るそうだ。千葉、坪内両先生、古市氏より手紙、又雨が上ってあつくなったの
た。さほど面白くもなかった。訳が悪いのだろう。夜千葉先生へ御手紙をかき文科会雑誌をのぞいたほかのを皆御返しする
かなり暑くなった。タッドと云う人の顔の表情は大変千葉先生によく似て居て何となしうれしかった。どっちかと云えば、
出すについてと云って、いろんなことをきいて来る。千葉先生からお葉書、高嶺氏より手紙来。私が洋行したとてしなく
ないらしい。小此木氏に会う。七日にきまった――千葉先生を中心とした談話会――と云うことである。心の素直
昨夜からの雨がまだ降って居る。午前中千葉先生のところへあがる。四十位の年頃の女の心持、親心、教育者の苦痛
二十六日 千葉先生のところへ行く。
七日 作楽会へ千葉先生を中心とした会がある、出席。
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父上山形出発
お父様山形御出発。
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来たのでとうとう英男をつれて七時の汽車で京都へ出発なさった。
ほどのひげが鼻の下にちょんぼりと止まって居る。京都を引き払うとき、織業仲間でよこしたと云う金時計を見せた。大変
が来た。田辺氏の養子であった。山紫水明な京都の風物が、男の体へ女性の一部分を吹き込んで仕舞ったと云うよう
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だったそうだ。無言劇は或程度まで行くものである。秋田雨雀氏は、まだ気分劇で、舞台の実地のことはあまり知らないと
浴場が、心持よいのが嬉しい。部屋づきの女中は、秋田附近の美くしい女特有の、眼尻の上った、いかつい顔立ちである。
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、私はいやになる。西脇氏へ『中公』を送り高松氏、大瀧氏より電話、婦女新聞社から英婦人の名を教えて来た
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静岡の何とか云う人から手紙で廻覧雑誌に何か出して呉れと云っ
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行くように誘ったけれ共家の都合で行かれなかった。福島まで二等で七十五銭やすいものだ。それから自動車で角屋まで行く。乗り合い
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〔書信〕大久保明子
(返)同右 大久保 小田切
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何かにつれて佐渡の金山と、大島、八丈島へ行き巣鴨の気違い病院について見たく思う。
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と思って居る。一つの可愛いい小さいエピソードであろう。あの東京をしたって居た若い子供の事を思い出す。「徳馬鹿」の事も
明日出来上るつもりなので坪内先生が若しまだ東京に被居しったらあしたの午後に自分で上ろうと御たくにききにあげ
夜東京堂へ行き、『犯罪の研究』、『セバストポール』、『トルストイ』(ロマン
私に分らないところが沢山ある。安積へかえりたくないから東京附近に居ると云って居た。
今の夏は若しかすると東京で暑い思いをしなければならないかもしれない。
午後になってから中西屋と東京堂へ行く。Childhood, Boyhood and Youth by Lev Tolstoi
で手足の動く人形を買って来てやる。中西屋と東京堂のまるで違う空気なども気がついた。
東京に帰って又、すぐHのあの哀願的な目に見られなければなら
暑くても、さわがしくても、静かな書斎さえあれば、東京よいところである。『文章世界』の増刊をよんで見ると、種々な
処へ来て居ると、東京がほんとによく思われる。東京が恋しい、どれほど暑くても、さわがしくても、静かな書斎さえあれば
こうやって離れた処へ来て居ると、東京がほんとによく思われる。東京が恋しい、どれほど暑くても、さわがしくて
様なのが居た――に休み、坪内、千葉、東京の家へと絵葉書を出す。ステーションで一人久米氏そっくりの大学生で同じよう
雨が降って居る。わびしい。東京の町に居てさえ、どことなく力づよい心持がするのを、こう
が冷評するように云う。王子あたりに来ると、ほんとうに東京についたと云う愉快な心持になった。ステーションの雑沓も却って、心持
今日急に東京へ帰る。十一時四十八分の急行だったので、少し空いて居た
た。久米氏に『新思潮』半年分を送り、午前中東京堂へ本を買いに行って来る。あまり暑さがきびしいので、脳
起きぬけに文房堂と東京堂とに買物に行く。かえって仕度をしたら、きちきちになって仕舞った
糸、インク、ペンを買って来る。昨夜買った玩具を東京へ送ってやるのである。午後少しあられが降った。
。大変面白い。何だかもうかえりたくて仕様がない。東京の家で、赤ちゃんのよちよち歩くのが見たくなって来た。余り陰気
とけて居た。お風呂へ入れないのでさむしい。東京へ古雑誌を送る。一郎のところへ行って、そのみじめなことに涙
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お茶の水の入学試験があったので春江ちゃんのために朝早くから、三時頃
学校の帰りにお茶の水に行く。どの位久し振りで心に種々の想像をして行ったかしれ
ばならないのかと思うといやになってしまった。お茶の水の橋のところにたって学校帰りに御目にかかったとき御話した
よく見かける顔の様であった。一寸目礼しただけでお茶の水の方へ行ってしまった。下島さんが例によってもらいに来た
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お送りに行く。途中雑誌を買い新橋の博品館で手袋を買って行ってあげる。
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真水に会う。醜悪な人達だ。昨日神保町の停留場で腹がたつまで私を見て居た人が保育会の会員
午後から古本屋へ行く。神保町から駿河台までズーッと屋並みに歩いて見るけれどもどうしてもあんまり好いのが
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水道橋の通りから見ると春日町からズーット掃除町のあたりに一かたまりになって灯の
をして、かえりに『新訳源氏』をかって来る。水道橋で大瀧夫妻に会う。二人子供をつれて、奥さんは体のいい女中の
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御父様御母様浅草、午前中さらった丈で夜は英語なんかちっとも見とれなかった。
夜、浅草へ行く。活動を見る。
浅草的なすべての刺戟を受けた。
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千住さんと云う人がざらざらして居ていやになる。
とき、萩野、三好、飯田、小島、真水、そが、千住その他のだれだれに会う。皆同じ様な顔をし、同じ様な事
午後から四時頃までの間に千住が何か宗教の事を話して居たがだまってそれをきいて居る
持って居た好意が一時に消えた様に感じた。千住氏が妙にチヤほやする。人の心は妙なものだ。級会
ことはどこまでも素直になって考えなければならない。千住さんはどうしても浅っぽい人である。
漸々だと云うようにしてウザウザと動いて居る。丁度千住に入ろうとした所で、向うから子供がかけて来て、ハッと思う
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一致した所のあるのを見出して少しありがたかった。午後上野のコンサルトに行く。坂本、矢作、おとき、萩野、三好、飯田、小島
の三等の長旅はかなり辛い。白河頃になると、上野からつづけてのって居るのは、国、道、私丈になってもう
行く。かえって仕度をしたら、きちきちになって仕舞った。上野へ着いたら、十五分前になって居る。道男が待ちくたびれて居たらしい
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から山の手を一廻りして竹葉で食事をしてかえる。銀座を一寸のぞいて来たが、あまり軽すぎる空気で幾分不愉快な様であっ
て来たので洋傘を一本持って行く。かえりに銀座でも行って見ようなどと思った。坪内先生はほめて下さった。今月中
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英男をつれて出かけて行く。車にのって、ずーっと田端の方から三河島の方まで行く。ずいぶん気の毒なものである。いやな
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するにはたのんで置いた方もよかろう、などと思う。向島へ車で行って来る。先の風雅な趣は一寸もない。あの伯父
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見えた。寺戸氏に会う。すっかり大人みたいでおかしかった。品川の何とか云う人に会った。大変可愛らしいと云っていい心持の失わ
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十六日 英男大塚のところにて犬にかみつかれ大騒動をしたが、大した事ではなかっ
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ためだと、市次郎が云ったとか、婆さんは、日本橋生れだと自称するとか、赤沢さんの奥さんは月七円ずつ貰って