道灌山 横浜 樺太 ロンドン 養源寺 ベルリン 千駄木 マニラ 札幌 四国 川越 丸の内 ノルマンディー ブルターニュ 本郷 パリ 倉敷 秩父 下関 長者町 パレスチナ 芝浦 桐生 巴里 京都 千葉 水戸 福島 宇都宮 岐阜 中野区 駒込 巣鴨 神田 東京 目黒 目白 品川 新宿 亀戸 浅草 銀座 護国寺 鶯谷 桜田門 池袋 蔵前 上野 田端 向島 日暮里 市ヶ谷 大久保

もいい天気です。美しい光線です。けさ新聞に、林町と道灌山の間が建物疎開地域になって居ります、そうでしょう、このあたりは入りくんで

てそうなったようです。あちらへ行く迄に、平塚、横浜等、通過出来なくなるところもあり、どうせ遮断されてしまいましょうが。マア

昨夜は国、横浜の友達のところに泊ったので、わたしは九時半ごろ床に入り、のんびり

ので駄目。何とかおひるをすましたら、倉知の樺太にいる従弟が上京しているのが、息子同伴で夕飯に来るとの電話

さて、話は家事茶飯に戻ります。樺太で電気技師をやっていると、ちがうわね、こまかい当節の波にもまれ

たりしてずらないようなのは。ああ、昔父がロンドンでつかったオリーブ色のぼったりした野暮くさいテーブルかけがあったっけが、どうし

赤い軸の。覚えていらっしゃるかしら？　モスク※、ベルリン、ロンドンと一緒に旅したペンです、そして、様々の夜昼を共にもし

ところがあるのね、漱石なんかこれでカンカンになって、ロンドンで神経衰弱になったし、あれ丈の文学論もかきました。日本人は

入って動坂の通りへ出たら、あの途中の右手の養源寺に都指定史蹟として、西村茂樹之墓と札が立って居りました

ペン（赤い軸の。覚えていらっしゃるかしら？　モスク※、ベルリン、ロンドンと一緒に旅したペンです、そして、様々の夜昼を共に

、見当ちがいの愛国熱でゲンコふりまわしたりします。（よくベルリンで博士の玉子たちがやったように）

（六都府県）から各地へ集団疎開いたします、本月中に。千駄木でも三年以上は、その級がいなくなるのですって。学校のそば

けさの新聞は、台湾の東方洋上とマニラの近海における戦果を公表して、戦史まれにみるところとして居り

かけて。その毛布たるやわたしが生れて百日目に札幌へゆくときくるまれて行ったという年功ものですが、なかなか暖いのよ、

も愉快にすごしました。栄さんは移動劇団と一緒に四国旅行ですって。世田ヶ谷はおつとめ。こっち方面は月末か来月に一たて別に

日になったのよ。さっき裏の画伯が来て、川越の先の部屋［自注２］かしてくれるということになり、これも

富士が見えます、秩父の山々も。空気もよいの、川越の方は田圃の中に電車の駅が一つあって、そこからすぐです

［自注２］川越の先の部屋――荷物疎開のためにさがしていた部屋。

川越の先の部屋を二十日すぎというから多分木曜頃見にゆきます。そして

川越の方はお話した通り。ここもつまりは引越しますまい。御主人公の考えかた

もないから、アスと云ったって、きょうかとあわてる次第です。丸の内へ電話し、駒込へ電話し、つまりあしたなのだとあきらめました、局

六月頃出した緑郎の手紙が一日に来ました。ノルマンディーに侵入がはじまった頃のパリで、まだそこにいた時分の手紙です。

て下さい。「木菟党」をよみ終り、一七九五年頃のブルターニュの状況、あの時代ナポレオン時代の紛糾を実によく理解しました。木菟党

ました。木菟党はミミズクの鳴声を真似て合図とするブルターニュの農民兵で、その首領をめぐりフーシェの派遣した女間諜をめぐり、その

この時代の人々（フランス）の間にあったパリとブルターニュとの国のちがうという観念など、又ナポレオンに対する感情など、実によく

動坂と林町の間のゴチャゴチャ区域。あすこも危険地帯です。本郷は菊坂辺もそうの由、わかりますね。林町の裏には大きい貯水池が

、牛車馬車をつらねて故郷なる岐阜へ引あげたところ、本郷にはまだ一発も着弾いたしませんが、あちらにはもうパラパラ。おどろいて

この時代の人々（フランス）の間にあったパリとブルターニュとの国のちがうという観念など、又ナポレオンに対する感情など、実

年以上前に大トランク一つ売った絵を思い出します。パリで妙ななりをしていても、これ丈は、と買ったのです

ていたし下駄はいたし、幅はひろいの。パリで靴買いに行って英語でものを云っているので、気を許して

日本人と云えばパリで緑郎どうして居りましょう、ルアーブルからセーヌづたいにパリは五時間以内では

ばパリで緑郎どうして居りましょう、ルアーブルからセーヌづたいにパリは五時間以内ではないでしょうか、英語が通じるようになって便利するの

みしたのでした、何処かの一寸した雑誌。パリの市役所に、義勇兵――国民軍募集のイルミネーションがつけられ、そこにぎっしりと男

が一日に来ました。ノルマンディーに侵入がはじまった頃のパリで、まだそこにいた時分の手紙です。ざっとよんだだけだけれども

です。空襲警報のとき来ておちおちよめなかったけれども。パリを去るようなことは無かろうと云って居ります。その後の経過で限界もひろげ

のもんぺ縫いに来てくれる洋絵勉強の娘さんが、倉敷の大原コレクションを見たがっているし、わたしはまだ一度も見たことがない

、わたしはまだ一度も見たことがないから、行きに倉敷でおりて、それを見がてら少し休み、あとは近いから娘さんはそこから

する感じのところで一寸面白いところよ。富士が見えます、秩父の山々も。空気もよいの、川越の方は田圃の中に電車の駅

万難を排して」買って下さる由、県視学となって下関へゆくそうです、頂上の立身でしょう。下関とは、しかしこわいところね。お祝い

視学となって下関へゆくそうです、頂上の立身でしょう。下関とは、しかしこわいところね。お祝いを云ってあげなくては、ね。豚

ここまで書いたら電話のベルが鳴りました。寿。長者町に、やっと永住出来そうな家がありそうになったら、別の借手が現れ

て不幸から脱却したいとき、結婚するか賭博者になるかパレスチナへゆくか三つに一つと考えたのだそうです。そして、一つ

さて、そちらで待ち待ちガンサーよみ終りました。パレスチナのユダヤ殖民地をめぐって、アラビア人とユダヤ人とのいきさつなど今まで知らなかった

をおだてて独立をさせ、ユダヤ人の科学発明がうれしくてパレスチナの殖民案を通し、しかし伝統的なアラビア人とユダヤ人との流血的対立を排除

宇都宮に二つあるのですって。うしろの座席には、芝浦の工場に徴用に行っている福島からの人が何人かいて、盛に配給

からね。熱いこわいものが一度落ちたら、さっさとトランクもって桐生へかえってしまうでしょう。ですから早く縫う必要があるのよ。そして出来たらどこ

室［自注３］というのは大した眺望で、ゾラが巴里を高い郊外の住居から感じたように、何か東京というところを俯瞰

て空なベンチで特徴づけられます。リュクサンブール公園は今度の巴里の戦いでは主戦場になったそうでしたから、この秋あすこの美しい樹木

シュバリエですが、悲しいかなその粋は商品であって、巴里っ子魂ではなかったらしいのね。芸術的技能が商品化した連中は、

は又ひどい風が立ちます。春はこれでいやね、京都はこんな吹きかたをいたしません。島田辺もそうでしょう？　風がきらい

住居とまた止ることなしと云ったのは、戦国時代の京都をよく表現しているということを実感いたします。東京も表情が随分

は駄目。汽車も回数券はなくなり、定期も通勤証明です。千葉の往復も大変になります。

のですって。注射していい由。このひとも、東京千葉と、落付かないために、過労にもなるのね、台所で私の

で御飯をたべないうち、トマトの苗を植えました。千葉のです。移すのには大きくなりすぎていますが、丈夫そうだから

寿は、やっと千葉に家をきめ、二十八日にトラックの手配まで、全部一人でやりました

です。眼がすこしマクマクぐらいのことで。寿はきょう一寸千葉へかえり、明日又来てくれる由。「いくら壕があったって、たった

今すぐ出て来そうにそこいら中とりちらかして寿が千葉へ帰っています、年末で配給が困るのだって。近々又参ります

一骨折るところですが、最後は妙なハッピエンドです。丁度水戸黄門道中記みたいに、どたん場で、大金持の息子という身分を明らかに

うしろの座席には、芝浦の工場に徴用に行っている福島からの人が何人かいて、盛に配給食の比較をやっていまし

にのった女の子はタイピスト学校に行っているのですって。宇都宮に二つあるのですって。うしろの座席には、芝浦の工場に徴用

しろ同じ制服で。違うといえばアクセントぐらいのものよ。宇都宮から隣りにのった女の子はタイピスト学校に行っているのですって。宇都宮に

のは、東北の文化的向上とでもいうか、昔は宇都宮からは、乗客の空気も言葉も服装も全く違って一段と暗くなりまし

のよ。その先住人は、牛車馬車をつらねて故郷なる岐阜へ引あげたところ、本郷にはまだ一発も着弾いたしませんが、

、私人では。お話していたところ［自注７］は中野区鷺の宮二ノ七八六です。特別何もたのまず出かけます。何も彼

一月二日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月二日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月九日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月十七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月二十四日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月二十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

二月十一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

二月十三日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

二月二十一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

三月二日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

三月二十日夜　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（鶴ヶ岡八幡宮の写真絵はがき）〕

三月二十三日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

四月七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

四月十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

四月十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

四月十七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

四月三十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

したらいい子ですね、この決心はもうつきました、駒込病院なら、遠いとはさかさになっても云えないし、あすこにレントゲンは

思いつきました。あさって、もしかしたら、朝のうちに駒込病院へ行って、外科の先生に紹介してもらって、いつか多賀ちゃん

五月七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

五月七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

五月十五日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

五月十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

と云ったって、きょうかとあわてる次第です。丸の内へ電話し、駒込へ電話し、つまりあしたなのだとあきらめました、局では控えおか

五月二十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（はがき）〕

五月二十八日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

六月四日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

六月八日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

六月十一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

六月二十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月五日夜　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月九日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月十八日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月二十三日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月二十四日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月二十五日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

八月一日夜　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

八月十七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

八月二十八日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月三日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月十一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月十五日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月二十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月二十四日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十月一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十月十二日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十月十八日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十月三十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十一月四日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十一月十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十一月十九日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十二月十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十二月十九日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十二月二十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

護国寺の本やから駒込郵便局へまわりました。郵便事務というものは実に大したものね、従業員

一月二日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月二日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月九日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月十七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月二十四日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

一月二十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

二月十一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

二月十三日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

二月二十一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

自注６］眼が十分でない――一九四二年の夏、巣鴨拘置所で熱射病で倒れて以来、視力が衰え、回復しきらぬことをさす

三月二日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

三月二十日夜　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（鶴ヶ岡八幡宮の写真絵はがき）〕

三月二十三日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

四月七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

の境遇にも同じようなことが起って、わたしだって巣鴨へ便利で市内で、電話があって、余り危険でないという住

四月十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

四月十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

四月十七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

四月三十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

の夏から心持よくしっとりした日というものがなく、巣鴨へゆく時間だけが一番心理的にも健康というひどさでした。やっとこの

五月七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

五月七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

五月十五日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

五月十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

五月二十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（はがき）〕

五月二十八日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

六月四日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

六月八日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

六月十一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

六月二十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月五日夜　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月九日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月十八日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月二十三日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月二十四日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

七月二十五日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

八月一日夜　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

八月十二日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　福島県郡山市開成山南町一八六中條内（封書）〕

八月十二日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　福島県郡山市開成山より（郡山市街全景の写真絵はがき）〕

八月十三日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　福島県郡山市開成山より（封書）〕

八月十四日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　福島県郡山市開成山より（封書）〕

八月十七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

八月二十八日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月三日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月七日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月十一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月十五日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月二十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

九月二十四日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十月一日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十月十二日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十月十八日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十月三十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十一月四日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十一月十日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十一月十九日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十二月十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十二月十九日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

十二月二十六日　〔巣鴨拘置所の顕治宛　駒込林町より（封書）〕

も買いがてら。この頃は実に何もなく閉口ですが、神田に井上という美術専門店があって、そこにはちょいと愛嬌のあるものが

『外交時報』は又神田ででもないと駄目らしいわ。この次の火曜日かえりによりましょう、隆治

。いそいそしてよ。私たちで買いましょう、そう思って。神田の巖松堂の二三軒先なの。金曜日にはお話していた通り帰りに

ますまいが。日わりはこんなよ、月曜は歯イシャ、神田の方へ野菜とりにまわり午後じゅうつぶれます。火曜はそちら。水曜は分ら

疲れたが面白うございました。この人が息子をつれて神田で見つけた大得意の本は、十九世紀の水力モーター（水車）につい

立ったようでなつかしみのある眺めです。こんなに愛嬌のない東京の冬の終りにさえ、こんな「春立つけさ」の感じがあるのです

が巴里を高い郊外の住居から感じたように、何か東京というところを俯瞰する感じのところで一寸面白いところよ。富士が見えます

余り予定狂わさずに島田へ行ってしまいましょう。五月頃東京にいないとこまることになるかもしれないから（御託宣めいているかしら

も開成山へゆき、ここは全然なくするから、私は東京にいるならいるで云々と。来年まで待たず、そうなるのではない

たのですって。注射していい由。このひとも、東京千葉と、落付かないために、過労にもなるのね、台所で私

出てくれて助りました。たまには、こうして東京にいるのがいいわ、十一日に、開成山に行っている女中さん

月曜の少しと火曜日ということになりそうです。今週は東京にいて、日曜日の防空演習に出てくれて助りました。たまに

んから、いいでしょう。子供の頃一夏ハダシ暮しして、東京へ帰って来るとき、次第に上野が近づく心持、家へ入って来るとき

しまうのね、先生もいい先生ですって。何よりです。東京のこの頃の暮しの空気に追われていない先生の方が、子供を

、街上でのらくら遊んでいる空虚は害があるのです。東京にいると、生活がありません。何もさせない、親でさえ

北の白熊に獲られるのね、きっと。やきもちやいて、東京へ出たら逆をやれと思って、自爆して、わたしという白熊を

のです。田舎へなんかは、ね。国男さんは、東京の郊外なんか意味ない、自分は開成山へ行っちゃう、と云って居りまし

京都をよく表現しているということを実感いたします。東京も表情が随分変化したものです。

やってしまうと心配かもしれないから。わたしと咲が東京にいたのでは国、ぞっとしないし、開成山へ行けない由

ないと皮膚がパリつきます。尤も水もわるいけれども。東京では洗ったあとから汗がわくみたいで、何もつけられませんが

ちがいは消えていて、女の子の服装だって髪だって東京とちがいありません。ちがいは健康そうだ、という丈よ。駅の

いま午後五時です。少くとももう東京に向ってかなり走っている筈のところ、わたしはこうやって机に向っ

、どんなにいいでしょう。あとの半分位は、ゴタゴタした東京で、もまれて、埃をあびせられて、よかれあしかれ、今日につよく接触

の荷主のこころをつたえて鳴るものとしたら、今の東京のぐるりの街道ばたの人々はああして暮していられないでしょうね、

東京周辺の街道をゆく荷物車はどの位夥しいでしょう、都電の停留場に待っている

のところをかけて通る様子は、これまでなかった今年の東京の秋さびですが、でも空のしずかなのはうれしいわ。たとえ曇っ

のくいはぐれになってしまう由。この人の弟は東京暮しで、会社の拡張係か何かやっていて、もまれている

貰うしかないね、なんておっしゃいませんからね。そしてわたしは東京にいなくてはならないのですもの、ねえ。

障子もないのだって。寂しいようにもなるわね、東京へ出て来たって昨今のように夜がこわいと、自分の生れた家

東京その他、そういう便宜のないところで工場働きはあの健康がもちますまい

運んでおいてね。わたしもここにともかく場所が出来、目黒の先の大岡山に寿江の室をこしらえ、まあどっちへ行ってもいいこと

間は咲の迎に、ハッピ着てゆきました。「目黒のさんま」（落語）のくちね、殿様の御微行は、いつも下賤に

の大岡山の室へ明朝荷を送るについて、きのうは目白来の荷物をあけたら、すっかり鼠が紙をたべていて、せと

こころで、それでやはり参るのは参るから。どうぞね、目白の先生も、途中のゴタゴタとこの点だけよ、いく分どうかというの

た。今丁字の花が咲き、よく匂って居ります、目白の庭石のよこにおいて来たのも咲いているかしら。

いらっしゃるのはあなたでありそうな気がしたり致します。目白のもとの方の家の二階の灯の下で待っていたの

と恥しいほど長くはりつけることになりました。前かけかけたなり目白でやっていたようにカゴを下げて犬をつれて団子坂下を一寸

だから目のきく泥棒なら入るまいと思って居ります。目白とちがって、ここは戸じまりよく二階の寝るところは、廊下もちゃんと鍵

終りました。余り結核菌についてあっさりかいてあるので目白の先生に話したら、衛生学者だからの由。弘文堂の本もそう

わたしの眼もその位になったとはお目出度いと、目白のお医者様は祝賀をのべて下さいました。ノミとりまなこを見はると、

でしたから）もこわれ、材木の山と化しました。目白も沿線はこわれて陸橋の左右、角の果物屋も交番側のマーケットも

濃くなって、秋の朝さいている花はきれいね。目白の上り屋敷の駅の外のごたごたに、秋咲く朝顔があって、いつも

そして帰って、夕飯は目白の先生とみんなでしました。みんなから呉々体をお大事に、と

そうかと思うと目白の先生は、カボチャのみそ汁をたべ乍ら面白いこと話してくれました。カビ

階に大車輪で自分のものを書くところこしらえた次第です。目白の頃のようにね、八畳の室の入った左手に机、その

んでしたが、母が話したことがあります、「品川の伯父さんは、あれだけの人物でいながら、妙なことを云った

。作家気質がふっとばされて、銀座界隈、浅草あたり、亀戸新宿辺から消散し、さてその先はいかがでしょう。大したことです。何人の古参

としても早く動きます。そちら迄二時間かかるでしょう。新宿をどうしても通るのが、いやですが、どこからだって、何

ん。作家気質がふっとばされて、銀座界隈、浅草あたり、亀戸新宿辺から消散し、さてその先はいかがでしょう。大したことです。何人の

はなれません。作家気質がふっとばされて、銀座界隈、浅草あたり、亀戸新宿辺から消散し、さてその先はいかがでしょう。大したことです

神様にはなれません。作家気質がふっとばされて、銀座界隈、浅草あたり、亀戸新宿辺から消散し、さてその先はいかがでしょう。

この間護国寺のよこの、いつも時局情報買っている店でヴェラスケスを見つけました。ヴェラスケス

は感じつつ、これを書いて居ります。さっきはあれから護国寺前の本やによりまして、やっと『文春』の十二月号を買い

護国寺の本やから駒込郵便局へまわりました。郵便事務というものは実に

ことでしょう）ゆっくりして、いろいろ家のこと、その他（鶯谷のすぐそばで沿線五十メートルの中に入り家がチョン切れることになった

じゅうつぶれます。火曜はそちら。水曜は分らないが、又桜田門かもしれないわ。面倒というのが、くせものめいて居りますかしら。

急変したからです。しかし本当に診て貰いましょう、来週桜田門がなさそうなら来週のうち、に。とにかくくりかえし御心にかけさせておく

は泣きなのよ。うちの国先生はダラダラ出勤で、桜田門へ出かけると云ったって、やっぱり自分のテンポは同じですから。こんや九時に

よ、それを買ってくれたというわけ、団子坂―池袋。れっきとした勤め人ですものね、わたしだって。うちでは出勤と

、角の果物屋も交番側のマーケットもなくなりました。池袋の武蔵野デパートね、あすこもありませんし、こっちの角の森永だった

秋咲く朝顔があって、いつも目にとめてはあすこから池袋へ電車にのりました。

大したもので、従って公債その他瞠目的です）わたしは蔵前の六畳、四半へだって籠城いたします、そして一人で犬の仔なんか

一夏ハダシ暮しして、東京へ帰って来るとき、次第に上野が近づく心持、家へ入って来るときの心持、あれを太郎が味うの

我慢して居ります。明朝七時何分かのに乗ると上野一時十五分。それからすぐそちらへ廻るしかありません。

お伴をわたしがして、おかみさんのこしてくれれば、田端まで荷運びもしてくれるでしょう、（荷運びもなかなかの問題ですから）急な

と、明治というものの香が高く面白いでしょう。西村の向島の「靴場」［自注10］が、母の方の西村のそばで

［自注10］西村の向島の「靴場」――百合子の母の叔父にあたる人が靴工場を

が（四十位）して居ります。おうたはそれ以前日暮里夫人のところにいてこちらをよく知って居り、いらっしゃるお客様方の中で

を寄附しようというわけです。母さんが放送して帰りに日暮里まで廻るのよ。こうですものね、女性お気の毒です。

た、そして暗くなりきらぬうちと大いそぎで御飯たいて、日暮里へ行きました。靄のふかい月夜で、感情を動かされながら歩きました

亡くなって、二月のあの大雪の第一日、粉雪が市ヶ谷へ戻る私の髪にふりかかりました。幅のせまい着物に代って、寒い

クラウゼヴィッツは市ヶ谷の頃よみました、面白く、感服もして。そして、忘れもした

動かしたのね、常識家の下らなさがあります。大久保彦左衛門は、明治でいえば、何ぞというと御一新をかつぎ出す爺さんで