京都 東京

そして、隠岐を東京へ送つて、私はたつた一人、京都へ取り残されたいといふ考へであつた。私は孤独を欲したのだ

する筈で、私はつまり、彼が京都にゐるうちに京都へ着いて、彼から部屋を探してもらひ、そして、隠岐を東京

隠岐は然しやがて上京する筈で、私はつまり、彼が京都にゐるうちに京都へ着いて、彼から部屋を探してもらひ、

と思ふ。私はひとり京都に向かつて出発した。京都に隠岐和一がゐた。隠岐は然しやがて上京する筈で、私は

、丁度、節分の前夜であつたと思ふ。私はひとり京都に向かつて出発した。京都に隠岐和一がゐた。隠岐は

、さういふ時、窓へ目をそらし、窓から見た京都の山々のクッキリと目にしみる切なさは、その山影をだいて死にたい

、吹雪物語を書いた後の自信の喪失、絶望、その京都に於ける絶望の生活からの内省と、その脱出のための苦しみの結果

、彼から部屋を探してもらひ、そして、隠岐を東京へ送つて、私はたつた一人、京都へ取り残されたいといふ考へで

てをり、一ヶ月三十円ぐらゐで生きてをり、出版屋は東京から、小説の完成をサイソクしつづけてゐた。私は然し一ヶ年、

、かどだつことは不可能だつた。この本を出版後の東京に於ける一ヶ年の荒れ果てた生活、次に利根川べりの取手といふ町

東京・蒲田にて