本郷 東京市 九段 丸の内 三省堂 日比谷公園 千葉 秋田 神保町 東京 銀座 有楽町

「僕は本郷の方です」

て来た。英文タイプも出来るのだが、そんなわけで東京市内にちゃんとした紹介者と保証人がないから、ミサ子のいる××○○

エスペラントがすむとミサ子と坂田とは偶然並んで九段ビルを出た。まだ十時前で、散歩する人通りとレコードのジャズの響

警笛。メガホーンで何か叫んでいるぼやけた人間の声。丸の内のアスファルト道路から撥ねかえる夕方の騒音が、人気ない室へつたわって来る。

○会社と云えば日本で指折りの大会社だが、その丸の内を圧すように聳え立つ建物で働いている人間の中には、はたに知られ

、××○○会社の女事務員が三四人ぐらい連れだって丸の内を散歩している。そんなとき、いかにも鮮やかにモダーンな洋装の女事務員や

実際丸の内の気分も、この二三年に変った。ミサ子が女学校時分ここを通る毎

、自信ありげな、燦々光るような雰囲気は、この頃の丸の内のどこの隅にもない。ぶらぶらと歩いている連中も気むずかしげに巨大な

一週間朝から夕方まで丸の内のオフィス・ビルディングの中で、コンクリート床を擦る靴音、壁に反響するタイプライタアの

三省堂の喫茶部へ入った。ミサ子は紅茶を、みどりは伏目になってソーダ水

もいつとはなしはじまって、一月に二度ぐらい、日比谷公園の池の畔へ出かけたり、芝生で休んで来たりするのだ。

、柳のゆれている濠端へ出て、初秋の日向を日比谷公園の方へ歩いて行った。昼休みが一時間ある。四十分ピクニックもいつ

云った。ミサ子の実家はもう母親一人で、それが千葉の兄の家に厄介になっているのだ。

みどりは秋田から逃げて上京して来た。英文タイプも出来るのだが、そんなわけ

には仲間いりをしないで歩いていた坂田が、神保町の角へ来ると、

て来た。英文タイプも出来るのだが、そんなわけで東京市内にちゃんとした紹介者と保証人がないから、ミサ子のいる××

「学校が東京じゃなかったし……私たちみたいなのは駄目よ。事務所でだっていつも

風のない日に照る欅の木の梢が屋根越しに東京の郊外らしく眺められる。煙を出さず、明るい午後の森閑とした座敷

三人は連れだって、中央郵便局の建物の裏を銀座に向って歩いてった。

有楽町で別れるとき柳はミサ子に、