「奈良」に遊びて / 宮本百合子

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地名一覧

春日山

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春日山の奥の院から裏道に出ますと、大きな杉並木があります。成長しきった

東大寺

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或る日、華厳宗の本山だという東大寺の転害門をくぐりました。その門は大きなもので、又鎌倉時代に、

東大寺の大きな鐘楼の傍から、石段を降りますと、「大湯屋」という古い

奈良

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「奈良」に遊びて

古代芸術の香高い所、そして美しい山水にかこまれた「奈良」という土地に対して、私はまあ、どれ位い憧憬の心を

。然し、壮麗な一種の歴史の錆をとどめている「奈良」だけは、この我儘な私を充分満足させて呉れました。

た私を、ほんとに、ゆったりと落ちつかせて呉れた「奈良」の天地、そこには、北国に於て見るあの寂寥の影が何処

私の滞在していた所は、「奈良」の町端れでありましたが、そこから自分の気に向いた方へ

いました。私はそうした自然物のほとりから、奈良朝時代の記念物である大仏殿などを眺めたのでした。

奈良朝時代の「奈良」の人々は、きっと、周囲の自然物を深く愛して、そしてその愛着

奈良朝時代の「奈良」の人々は、きっと、周囲の自然物を深く愛し

を顧みても、私達の野心を刺戟する何物もない「奈良」の天地は、古代芸術の香りを慕って来る者をほんとに心ゆく迄

、亦保守的生活を続けている。恐らく彼等の生活は奈良朝時代から、一歩も進んでいないように見受けられるのです。

窃かに働かして旅人の財布を軽めるにもせよ。「奈良」の人々は決して劇しい生活の準備などはしないでしょう。

「奈良」は、鹿が路傍に遊ぶ所です。そして古代芸術の永久に保存さ