本所 難波 鎌倉 大阪 江戸 住吉 東京 京橋

人に、默阿彌さんは明治まで生きてゐた人で、本所にお住居ゆゑ、おききになつて景色にそへたのに違ひない、と

、やつと生きたものと見える。大阪は大都市で、早く難波の宮もあつたが、鯛が本場だから幅をきかせ――但し閑

鰹といふと鎌倉で漁れて、江戸で食べるといふふうになつて、賣るも買ふも、

、自由にはめられる、五月日本のいさぎよさだが、鎌倉といふところに鰹の意義がある。鰹は勝男に轉じ、釣上げた姿も

鎌倉の海より出し初鰹、みな武藏野のはらにこそ入れ

都會になつてから、やつと生きたものと見える。大阪は大都市で、早く難波の宮もあつたが、鯛が本場だから幅を

が本場だから幅をきかせ――但し閑がなくて大阪の鰹のことを探さなかつたのではあるが――た。

鰹といふと鎌倉で漁れて、江戸で食べるといふふうになつて、賣るも買ふも、勇み肌の代表のやう

の時代には貴人の口にはいらなかつたので、江戸が都會になつてから、やつと生きたものと見える。大阪は大都市で

思ふに鎌倉武士のあらましは關東武士であつた。江戸の氣風は徳川權現樣三河御譜代の持參だとばかりは言へない。武藏

士、工、商の三階級で、士と工とが江戸の氣風をつくつたものだといへる。知識階級の士は節度正しく、一死もつ

賣聲や、男性的颯爽たる諸條件がそろつて、初鰹は江戸の季節の一景物とまでなつたのだ。それゆゑ、金持ちが羨ましいことも

利鞘をとつて衣食し、肥る商人を賤しめたのを、江戸の市井でうまれた「川柳」が、初鰹でもつてよく語つてゐる。

春の日の霞める時に住吉の、岸に出でゐて釣船の、とをらふ見れば古の事

これは土佐でも住吉でも、自由にはめられる、五月日本のいさぎよさだが、鎌倉と

ながら、時鳥が鳴いた空をちよいと見上げるところがあるが、東京の空を、ほととぎすが啼いてすぎる夜があるといふと、てんから嘘

私が、大正のはじめ京橋佃島にすんでゐたころでも、まだ押送り船が房州から、白帆