本所 江戸城 箱根 芝公園 千葉 静岡 岡山 福島 奈良 日本橋 人形町 東京 住吉 新橋 両国橋

明治十二年の大火に蔵だけ残して丸焼けになって、本所の回向院境内まで、両国橋を渡って逃げたということであるから、

なっていたので、彼は江戸ッ児でも、江戸城本丸明け渡しのあとを、守護する役などに用いられたりして、刑部省へ

ているので、母はたいへん気乗りがして、繁昌な箱根の店を投げ出してまで紅葉館をやろうとした。あたしは反対したが

の目にあって、結局やめた。眼の届かなかった箱根の方もやめなければならなかった。

そのころ、芝公園内の、紅葉館という、今でこそ、大がかりな料亭も珍しくないが

は書や画などを好み、剣術は北辰一刀流の、お玉が池千葉の弟子になって、かなりな使い手になっていたので、彼は

、まだ惣一といった昔のことで、はじめあたしたちは、千葉の田舎から来たほやほや中学生の書生さんの頭に、白髪が多くあるの

ことでは、徳川家の瓦解の時、お供をして静岡へ行った一家で育ち、無禄の士族たちが、遠州御前崎の浜で、

実現して見ることにきめてしまった。父が、旧岡山の藩主であった池田侯の相談役であったのと、そのすこし以前に

で、実のところ、束脩もおさめたやら、どうやら、福島の人で、あたしたち姉妹を可愛がってくれた、あまり裕福でない、出入り

自作の新舞踊劇「空華」は奈良朝時代の衣装背景で、坪内先生の「妹背山」の試演がその式

ある家の蔵座敷で生をうけた。明治十二年、日本橋区通油町壱番地。ちっぽけな、いやな赤ん坊だったので、何処から

て、父を慰めながら、住吉の渡船をわたって通い、日本橋植木店の藤間の家元に踊りをならいなどして、劇作を心がけ、坪内

はっきり印象されるようになった時分の、小伝馬町、大伝馬町、人形町通り、大門通りといった町は、黒い蔵ばかり、田舎とちがって白壁

死ぬと直きに、弟をねんねでおんぶした仲働きが、人形町までといって出た、あたしの買いものの供に付けて出されたが

が、明治十二年末から、二十年の末までの、東京下町の、ある家庭の、親に従順な一人の娘の、表面に現われ

医者に、眼の手術をしてもらって、それでも東京へは出ず、頑固に囲爐裏のはたや炬燵のなかで、繃帯を

の預けられた息子は居たたまれなくて、何かにつけて東京へ帰って長くいるので、あたしは独居の勉強が出来た。県道から

、狐狸の住家だった廃鉱の山へ来たという、東京生まれの女性であっただけに、大変あたしを愛しんでくれた。

東京へ帰ると、舅が亡くなったりして、離婚のことを言い出せなかった

、あたしは父の傍にいて、父を慰めながら、住吉の渡船をわたって通い、日本橋植木店の藤間の家元に踊りをならいなど

、お金を用立てた人が死んで、その後家たちは、新橋で旅館をもとからの商業にしているので、丁度引受け手を探し

勘十郎、勘右衛門の両家、花柳からも、あらそって出演し、新橋芸妓では踊り手の七人組をはじめ大勢が出てくれた。

だけ残して丸焼けになって、本所の回向院境内まで、両国橋を渡って逃げたということであるから、住居の具合は変りもし