倫敦消息 / 夏目漱石
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事はない、すこぶる平凡な物さ。「オキスフォード」で「アン」を見失ったとか、「チェヤリングクロス」で決闘を見たとか云うのだ
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が、いかにも憫然な生活だからくだらない。しかし僕が倫敦に来てどんな事をやっているかがちょっと分る。僕を知っている君
いわゆる two pence Tube さ。これは東「バンク」に始まって倫敦をズット西へ横断している新しい地下電気だ。どこで乗ってもどこで
やる事を知らない。そこでもって家賃が滞る――倫敦の家賃は高い――借金ができる、寄宿生の中に熱病が流行る。一人
さよう、実に御気の毒だから周旋したいのだが、倫敦には別に朋友というものがないから――」。それでもせんだってまで
畳むより仕方がない。そこでこれから南の方にあたる倫敦の町外れ――町外れと云っても倫敦は広い、どこまで広がるか分らない―
南の方にあたる倫敦の町外れ――町外れと云っても倫敦は広い、どこまで広がるか分らない――その町外れだからよほど辺鄙な処だ
雄弁家である。この善人にして雄弁家なるベッジパードンは倫敦に生れながらまるで倫敦の事を御存じない。田舎は無論御存じない。また御存じ
教育ある上等社会の言語はたいてい通ずるから差支ないが、この倫敦のコックネーと称する言語に至っては我輩にはとうてい分らない。これは当地の
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僕の下宿は東京で云えばまず深川だね。橋向うの場末さ。下宿料が安いからかかる不景気なところにしばらく
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僕の下宿は東京で云えばまず深川だね。橋向うの場末さ。下宿料が安いからかかる
には何にもない。砂利を掘った大きな穴がある。東京の小石川辺の景色だ。長屋の端の一軒だけ塞がっていてあと