下関 四谷 寛永寺 奥州 大木戸 江戸城 江戸 九州 仙台 福岡 下谷 深川 上野 東京 新宿 大久保

ない。しかしフグがとれないかというと大マチガイで、下関や福岡あたりの海よりも、三陸の海の方が無限にフグがとれるほど

「四谷の鮫河橋という貧民窟です。今はメクラの男と夫婦になって、小さい

じゃないのよ。梶原の子供は姉さんだけ。その旗本は寛永寺の戦争で死んだそうです。私の父は望月彦太という旗本」

いたわが子であるに相違ない。なぜなら、梶原は寛永寺で死んだと云い、駒子の父はイタチ組の親分格の望月彦太と

親分格の望月彦太というではないか。正二郎が寛永寺で死んだというのも、彦太の語ったことであろう。

て、着物をきかえて現れて、正二郎は名乗りをあげ、寛永寺へ立てこもってからの一部始終をこまかに物語ったのであった。

も面白かろうと、江戸を逃げのびて、中山道から道をかえて奥州へ。戦争話の駄ボラを吹きながら、無銭飲食、無銭遊興を重ねて、

たつころは河童隊と自称していたそうだが、奥州へ来て、妙なことに気がついた。河童の神通力には北限が

猪八戒以下になり、関東あたりから急速に下落して、奥州へくると、全然河童には神通力がない。奥州でカッパというと、水中

て、奥州へくると、全然河童には神通力がない。奥州でカッパというと、水中のガメ虫、ゲン五郎といって水中を泳ぐ金

奥州ではフグを食う習慣は殆どない。しかしフグがとれないかというと大

北上平野は上々の豊作で安い米が買えた。だいたいに奥州は水害冷害が甚しいが、この北上平野だけは古来から殆ど手を施さずし

新宿の大木戸に、むかしお龍の朋輩芸者の婆さんの働く家があるので、正二郎

江戸城開け渡し。軽挙モウドウをいましめるフレはでているのだから、正二郎はフレに反し

ようなところがない。しばらく旅にでるのも面白かろうと、江戸を逃げのびて、中山道から道をかえて奥州へ。戦争話の駄ボラを吹き

ていると、いつ召し捕えられるか知れたものではない。江戸へ帰るわけにはいかないから、船で松前へ落ちのびることにきめた。ところ

組というのは彼らのことである。彼らは江戸をたつころは河童隊と自称していたそうだが、奥州へ来て

そこで正二郎も考えた。今さら江戸へ戻ることもできないが、さればといってイタチ組と一しょにいる限りは

れるか、それも遠い先の運命ではなさそうだ。江戸に残してきたお久美には気の毒だが、今となっては仕方が

自分の直轄地とし、年々ミノリ豊かなこの地の米を江戸へ売って儲けていたのである。維新後のドサクサ以来、一力はここ

である。南へ行くほど河童の神通力は絶大で、九州の伝説では孫悟空ぐらいの威力があるが、中国、近畿、中部地方と

吹きながら、無銭飲食、無銭遊興を重ねて、二本松から、仙台、とうとう塩竈まで逃げ落ちた。道々の諸侯の動勢は予期に反して必ずしも

しかしフグがとれないかというと大マチガイで、下関や福岡あたりの海よりも、三陸の海の方が無限にフグがとれるほどだ

の貧民窟があったが、特に代表的なものが三ツ。下谷万年町、芝新網、そして最も人口の多いのが四谷鮫河橋である。

に行列していた片手のない男が、オレはむかし深川貧民窟のアサリ売りだが、日本人の最低生活てえものは、朝はニマメにツクダニ

をまいてる時じゃアねえやな。そろそろ戦争がはじまるぜ。上野寛永寺へたてこもることにきまったのだ。おいらも威勢を見せてやろうじゃ

手をとられ、腰をつかまれて、夢のように上野寛永寺へたてこもってしまった。

その金でそッくり米を買って、これを船で東京へ運んで売った。ところがその年は全国的な大凶作で米があがっ

にサイハイをふって物資を東京へ送るから、お前さんが東京の支店長で売り捌く役だ。この土地にあんなアマと一しょに居ちゃア生涯

が副頭取。オレがここを本拠にサイハイをふって物資を東京へ送るから、お前さんが東京の支店長で売り捌く役だ。この土地にあんな

しまう。また、この地にいるのもよろしくない。今、東京では会社というものが、はやっている。オレとお前さんと組で

は意外にもハイカラ好みで、一流の西洋大工に命じて東京にいくつもない純西洋館をつくって住んだ。屋根に鐘楼があったの

松島にちなんで、松島物産会社と名づけ、正二郎は副頭取、東京支店長となった。小心で考え深い正二郎は、武士には向かなかったが、

東京には多くの貧民窟があったが、特に代表的なものが三ツ。下谷

財産なんぞが消えてなくなったってタダみたいのものよ。東京へ行って栄耀栄華に暮すが最上の分別さ、ということであった

らに与えた最後の言葉は、ナニ、お前の聟は東京名題の大金持じゃアないか。塩竈のチッポケな財産なんぞが消えてなくなっ

新宿の大木戸に、むかしお龍の朋輩芸者の婆さんの働く家があるの

「実はね。この旦那と私は大久保のさるお邸の仮装会で乞食の夫婦でアッと云わせようというダンドリ