坊っちゃん / 夏目漱石
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と聞き返した。「西の方だよ」と云うと「箱根のさきですか手前ですか」と問う。随分持てあました。
こんな事を清にかいてやったら定めて驚く事だろう。箱根の向うだから化物が寄り合ってるんだと云うかも知れない。
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た。麻布の聯隊より立派でない。大通りも見た。神楽坂を半分に狭くしたぐらいな道幅で町並はあれより落ちる。二十五万石の城下
の釣堀で鮒を三匹釣った事がある。それから神楽坂の毘沙門の縁日で八寸ばかりの鯉を針で引っかけて、しめたと思ったら
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生れてから東京以外に踏み出したのは、同級生と一所に鎌倉へ遠足した時ばかりである。今度は鎌倉どころではない。大変な遠く
と一所に鎌倉へ遠足した時ばかりである。今度は鎌倉どころではない。大変な遠くへ行かねばならぬ。地図で見ると海浜
錠前直しと間違えられた事がある。ケットを被って、鎌倉の大仏を見物した時は車屋から親方と云われた。その外今日まで
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私もこれで江戸っ子ですと云った。こんなのが江戸っ子なら江戸には生れたくないもんだと心中に考えた。そのほか一人一人についてこんな
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が遥かに趣がある。おやじの葬式の時に小日向の養源寺の座敷にかかってた懸物はこの顔によく似ている。坊主に聞いて
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先生と大きな声をされると、腹の減った時に丸の内で午砲を聞いたような気がする。最初の一時間は何だかいい加減
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の方が遥かに趣がある。おやじの葬式の時に小日向の養源寺の座敷にかかってた懸物はこの顔によく似ている。坊主
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は商業学校を卒業した。兄は何とか会社の九州の支店に口があって行かなければならん。おれは東京でまだ学問を
連れて行ける身分でなし、清も兄の尻にくっ付いて九州下りまで出掛ける気は毛頭なし、と云ってこの時のおれは四畳半の
九州へ立つ二日前兄が下宿へ来て金を六百円出してこれを資本
に一同に挨拶をした上、今般は一身上の都合で九州へ参る事になりましたについて、諸先生方が小生のためにこの
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か何かだぜ。ことによると、あいつのおやじは湯島のかげまかもしれない」
「湯島のかげまた何だ」
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見に行かないかって誘いに来たんだ。今日は高知から、何とか踴りをしに、わざわざここまで多人数乗り込んで来て
東の隅に一夜作りの舞台を設けて、ここでいわゆる高知の何とか踴りをやるんだそうだ。舞台を右へ半町ばかり
数から云うとたしかに馬鹿に出来ない。そのうち評判の高知の何とか踴が始まった。踴というから藤間か何ぞのやる
おれは、いっしょに、祝勝会へ出てさ、いっしょに高知のぴかぴか踴りを見てさ、いっしょに喧嘩をとめにはいったんじゃ
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。船が岸を去れば去るほどいい心持ちがした。神戸から東京までは直行で新橋へ着いた時は、ようやく娑婆へ出たよう
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はなかなか想像の強い女で、あなたはどこがお好き、麹町ですか麻布ですか、お庭へぶらんこをおこしらえ遊ばせ、西洋間は一
自慢を甥に聞かせた。今に学校を卒業すると麹町辺へ屋敷を買って役所へ通うのだなどと吹聴した事もある
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は一ヶ月以前から、しばらく前途の方向のつくまで神田の小川町へ下宿していた。清は十何年居たうちが人手に渡る
は小供の時からの癖だ。わるい癖だと云って小川町の下宿に居た時分、二階下に居た法律学校の書生が苦情
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。おれは一ヶ月以前から、しばらく前途の方向のつくまで神田の小川町へ下宿していた。清は十何年居たうちが
た椅子が二十脚ばかり、長いテーブルの周囲に並んでちょっと神田の西洋料理屋ぐらいな格だ。そのテーブルの端に校長が坐って、校長
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の支店に口があって行かなければならん。おれは東京でまだ学問をしなければならない。兄は家を売って財産を片付け
なると四畳半も引き払わなければならん。生れてから東京以外に踏み出したのは、同級生と一所に鎌倉へ遠足した時ばかりで
たと聞くから、東京から来たと答えた。すると東京はよい所でございましょうと云ったから当り前だと答えてやった。膳
ながら下女がどちらからおいでになりましたと聞くから、東京から来たと答えた。すると東京はよい所でございましょうと云った
はこれでも学資のあまりを三十円ほど懐に入れて東京を出て来たのだ。汽車と汽船の切符代と雑費を差し引いて
大きな印の捺った、辞令を渡した。この辞令は東京へ帰るとき丸めて海の中へ抛り込んでしまった。校長は今に職員
から財布の中には九円なにがししかない。九円じゃ東京までは帰れない。茶代なんかやらなければよかった。惜しい事をした。
ぱちつかせて、お国はどちらでげす、え? 東京? そりゃ嬉しい、お仲間が出来て……私もこれで江戸っ子ですと
と断わる以上はもう少し奇麗にしそうなものだが、東京を知らないのか、金がないのか、滅法きたない。畳は色が
行こうと思って上がり込んだ。見ると看板ほどでもない。東京と断わる以上はもう少し奇麗にしそうなものだが、東京を知らない
加えた看板があった。おれは蕎麦が大好きである。東京に居った時でも蕎麦屋の前を通って薬味の香いをかぐと
していたら郵便局の隣りに蕎麦とかいて、下に東京と注を加えた看板があった。おれは蕎麦が大好きである。東京
、もしと答えた奴がある。やな奴だ。わざわざ東京から、こんな奴を教えに来たのかと思ったら情なくなった。余計
事に極めている。ほかの所は何を見ても東京の足元にも及ばないが温泉だけは立派なものだ。せっかく来た者
待ち合せて浜へ行った。船頭は一人で、船は細長い東京辺では見た事もない恰好である。さっきから船中見渡すが釣竿が
なんて、人を馬鹿にしている。大方田舎だから万事東京のさかに行くんだろう。物騒な所だ。今に火事が氷って、石
気になるから、宿のお婆さんに、東京から手紙は来ませんかと時々尋ねてみるが、聞くたんびに何にも
「どうしててて。東京から便りはないか、便りはないかてて、毎日便りを待ち焦がれておい
「何ですかい、僕の奥さんが東京で間男でもこしらえていますかい」
―先だって坊っちゃんからもらった五十円を、坊っちゃんが、東京へ帰って、うちを持つ時の足しにと思って、郵便局へ預けて
てひどい目に遭わないようにしろ。――気候だって東京より不順に極ってるから、寝冷をして風邪を引いてはいけない
あ駄目だ。もしあの学校に長くでも居る模様なら、東京から召び寄せてやろう。天麩羅蕎麦を食っちゃならない、団子を食っちゃ
、遠山のお嬢さんと明日から結婚さして、一ヶ月ばかり東京へでも遊びにやってやりたい気がした矢先だから、やお
六つ年を取ったような気がする。早く切り上げて東京へ帰るのが一番よかろう。などとそれからそれへ考えて、いつか石橋
ばこんな家へはいれるなら、おれも一つ奮発して、東京から清を呼び寄せて喜ばしてやろうと思ったくらいな玄関だ。頼むと云っ
もそうならなくっちゃ始末がつかない。どうしても早く東京へ帰って清といっしょになるに限る。こんな田舎に居るのは堕落し
をしてしまった。手紙なんぞをかくのは面倒臭い。やっぱり東京まで出掛けて行って、逢って話をするのが簡便だ。清の心配
おれはうちへ帰ると、いつでもこの蜜柑を眺める。東京を出た事のないものには蜜柑の生っているところはすこぶる珍しいもの
は大いに乗り気で、おれに同行を勧める。おれは踴なら東京でたくさん見ている。毎年八幡様のお祭りには屋台が町内へ廻って
は驚ろかないのだが、中学の教師堀田某と、近頃東京から赴任した生意気なる某とが、順良なる生徒を使嗾してこの騒動
しかるべき事をみんな向うで並べていやがる。それに近頃東京から赴任した生意気な某とは何だ。天下に某と云う名前の
「そんなら、おれは明日辞表を出してすぐ東京へ帰っちまわあ。こんな下等な所に頼んだって居るのはいやだ」
書いていいか分らないから、私儀都合有之辞職の上東京へ帰り申候につき左様御承知被下度候以上とかいて校長宛に
どうおしるのぞなもしと聞いた。お婆さん、東京へ行って奥さんを連れてくるんだと答えて勘定を済まして、すぐ
が岸を去れば去るほどいい心持ちがした。神戸から東京までは直行で新橋へ着いた時は、ようやく娑婆へ出たような気
。おれもあまり嬉しかったから、もう田舎へは行かない、東京で清とうちを持つんだと云った。
の事を話すのを忘れていた。――おれが東京へ着いて下宿へも行かず、革鞄を提げたまま、清や帰った
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くれと云ったから、異議なく引き受けた。二日立って新橋の停車場で分れたぎり兄にはその後一遍も逢わない。
去るほどいい心持ちがした。神戸から東京までは直行で新橋へ着いた時は、ようやく娑婆へ出たような気がした。山嵐
二日立って新橋の停車場で分れたぎり兄にはその後一遍も逢わない。
いい心持ちがした。神戸から東京までは直行で新橋へ着いた時は、ようやく娑婆へ出たような気がした。
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何か用だろうと思って、出掛けて行ったら、四国辺のある中学校で数学の教師が入る。
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「日向の延岡で――土地が土地だから一級俸上って行く事になりました」
電車が通ってる所なら、まだしもだが、日向の延岡とは何の事だ。
一ヶ月立たないうちにもう帰りたくなった。延岡と云えば山の中も山の中も大変な山の中だ。
当人がもとの通りでいいと云うのに延岡下りまで落ちさせるとは一体どう云う了見だろう。
古賀君は延岡へ行かれる。その代りがくる。その代りが古賀君よりも多少低給で来てくれる。
古賀君は延岡でただ今よりも栄進される。新任者は最初からの約束で安くくる。
延岡は僻遠の地で、当地に比べたら物質上の不便はあるだろう。
終りに臨んで君が延岡に赴任されたら、その地の淑女にして、君子の好逑となるべき資格あるものを択んで
「美しい顔をして人を陥れるようなハイカラ野郎は延岡に居おらないから……と君は云ったろう」