アテネ 大音寺 九州 明治座 神戸 鹿児島 神田 東京 日本橋 大塚

でした。――彼女は東京に帰つてからは神田のアテネへ通つてゐることになつてゐましたが、多くは私のゐる医院

ですが、千枝子は昼は山手の家政学校へ、夕刻はアテネへ通ふことになつて自家を出て来るのですが、大概途中で此処

大音寺の云ふところに依ると、応援団の幹部に欠員を生じてゐるところ故、君

大音寺は私の姿を改めて見直しながら、

を頬張りながら、部員達の集つてゐる一隅へ赴き、大音寺から、やはり政経科の大塚五郎、工藤輝雄、服部滝之進、その他五六名

のあたりに夕靄が降り始めた時分になつて、私は大音寺をはぢめ、大塚、工藤、服部等にとりまかれて声量の試験をさ

動作の要領を教授するといふのでした。――先づ大音寺は、鬼のやうな拳固を頭上に構えて、フレー／＼、ワセダ――

へると共に両腕を空高くパツと拡げるのでした。大音寺の声量は、真に虎の遠吠の如く素晴しいものでした。

と今度は、「ガンバレ／＼、ワセダ」と大音寺は叫びます。それは拳闘家のやうな構えでありました。

まつて、腹を曲げ過ぎるといふ批評が出たが、大音寺はそれはともかく、

もう打とけた親しみに浸りながら、そんなことを云ひました。大音寺は得意さうに、珍らしく大声で笑ひ、

そんなことを云ふ者もあつて、私達はがや／＼と大音寺の下宿へ繰り込みました。

つて、間もなく晴の試合に登場しました。大音寺の間近の下宿に移つてからは、生れ変つたやうに健やかな青年に戻り

ないが。――男は何でもすつかり無情を感じて九州の田舎とかへ帰つて、いつまでゞも千枝子の本心の立返るのを待つ

やうな街なかの医院の二階でした。はやしの音は明治座の芝居からです。その小屋が久松町の川ふちにあつたころで、私

ひどしでしたが、学校を終へてから間もなく神戸の支店（彼女の実家は日本橋の富沢町で毛織物の輸入商を営んでゐ

たんですぜ。しかしそれは噂だけらしかつたが、神戸へ行つたのは源はと云へば、そのほとぼりを冷すのが目的だつ

「鹿児島産の大虎だよ。」

なおもひでした。――彼女は東京に帰つてからは神田のアテネへ通つてゐることになつてゐましたが、多くは私

しかし退屈な夢のやうなおもひでした。――彼女は東京に帰つてからは神田のアテネへ通つてゐることになつてゐまし

暑中休暇になると、正義会の地方演説部に加はつて、東京を離れました。

終へてから間もなく神戸の支店（彼女の実家は日本橋の富沢町で毛織物の輸入商を営んでゐたのです。）へ赴いて

つてゐる一隅へ赴き、大音寺から、やはり政経科の大塚五郎、工藤輝雄、服部滝之進、その他五六名の幹部を紹介され

をされることになりました。これに通過すれば、大塚と服部が応援法についての動作の要領を教授するといふのでし

た時分になつて、私は大音寺をはぢめ、大塚、工藤、服部等にとりまかれて声量の試験をされることになりまし

「構えの方は別の日に大塚達に習へば好いんだ。」