好日の記 / 牧野信一
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ゐるので、映画などを見たいときは湘南電車で、横浜へ出かけるのであつた。ながい間の酒の習慣を、止むなく禁じなければなら
うと思つたから、さう答へると車掌は、では横浜で――と、五銭で乗換切符を渡し、若し車内でその暇がなかつ
ずには居られなかつたほどだつた。で、わたしは横浜で省線の東京行に移つて、なるべく車内で車掌に申出ておかうときよろき
とうなづかれた。つまり彼は、わたしが、日の出町から横浜までのたつた五銭の切符を買つて、中途はキセルの管の如く
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なつて来た。といふのは、爽やかな友達のゐる東京へ行かずには居られなくなつたのである。直ちにわたしは、車掌
られなかつたほどだつた。で、わたしは横浜で省線の東京行に移つて、なるべく車内で車掌に申出ておかうときよろきよろして
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たと思つて、慌て、すゝみ出て、これで新橋まで――といつたのである。するとその細眼は非常にはげしい
の間で、向方は向方となるんだから、新橋までの乗越は、こつちの乗越切符だけを示して向方で払ふやう
「務めもなくて、ぢや一体、何しに新橋まで行くのかね?」
「よしツ――ぢや、新橋で一緒に降りよう。止むを得んから、駅長、立会ひの上で身体
と、わたしにいつた。「ぢや、まあ、もう新橋だから――」
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横須賀に住んでゐるので、映画などを見たいときは湘南電車で、横浜へ出かけるのであつた。ながい間の酒の習慣を、
。ところが、そんな変竹林に、和やかさうな顔つきで、湘南八景あたりの、窓にうつる明るい小山などを眺めてゐるうちに、不図わたし
までの切符を買つて、わたしは何気なく、いつもの湘南電車に乗つたのである。円タクにでも乗つて、あてども