伊東 九州 上野公園 京都 東京 銀座 新宿 浅草 上野 京橋

しかし戦後の新宿はたしかにひどい。今は伊東に住んでいるから新宿へ行くこともないが、以前はよく行った。古い

、関東大会でも優勝するし、全国大会でも優勝する。九州の落武者の大ヨタモノの相撲の選手が糞馬力で投げてみたって、十二ポンド

九州の落武者の多くは、壮士的ではあるが、ヨタモノとは違う。彼ら

九州のオッサン組と本ヨタ組は完全に没交渉であったが、私はどちらから

九州のオッサン組は年をくっていたが、無邪気でもあり、同時に、

許可を得て、新宿駅前の交番に立番し、つづいて上野公園の西郷さんの銅像下の交番に詰め、お巡りさんの案内で、上野の

後年、私が三十のころ、流浪のあげく、京都の伏見稲荷の袋小路のドンヅマリの食堂に一年ばかり下宿していたこと

東京ジャングル探検

終戦後、東京いたるところの駅前にマーケットができて、カストリをのませる。よってヘベレケに

しかし、新宿は戦争前にも、東京随一のアンチャン地帯であり、酔ッ払いの危険地帯であった。

又、警察と協力的にやりだしたので、私が東京の盛り場をノンダクレてまわる頃には、浅草は安全な飲み場の一つ

レッキとした新宿の駅前マーケットの公然たる性格だから、東京にはジャングルがあるのである。

その後私が東京を去り、そのまま音信が絶えていたが、終戦二年目、私

たが、身ぐるみはがれたことはない。一度、当時はまだ銀座が殆ど復興していなかったが、私が焼跡へでて小便して

といえどもこれ以上ではないのである。もっとも、銀座もひどかった。

書生群のアパート地帯だが、当時の蒲田は安サラリーマンと銀座勤めの女給のアパート地帯で、アパートの女給は男をつれこみ、酒場や料理屋

むかし、銀座裏に千代梅という飲み屋があった。ここにヤマさんという美少年の

のペーヴメントを歩いていた。まるでお嬢さんが一人ぽっちで銀座を歩いているように。巡査が懐中電燈を消すと、彼女はふりむいて

マーケットでもアンチャンあるところ身の安全は期しがたいが、特に新宿のマーケットはカストリ組の危険地帯随一と目されている。

しかし、新宿は戦争前にも、東京随一のアンチャン地帯であり、酔ッ払いの危険地帯

タカラれたこともなく、血の雨を降らしたこともない。新宿のヨタ公は、戦争がタケナワとなり、飲み屋がなくなるまで、残ってい

は正義派で、お客をまもってくれるという良俗があり、新宿で本当にタカラれたこともなく、血の雨を降らしたこともない。新宿

いつまでもアンチャン連が生息横行していた盛り場は、新宿が筆頭で、私もずいぶん、やられたものだ。当時、ここでひとり

新宿は蒲田ほど露骨ではなかったが、盛り場としては、戦前から最も

の新宿はたしかにひどい。今は伊東に住んでいるから新宿へ行くこともないが、以前はよく行った。古い友人のやつてる「

しかし戦後の新宿はたしかにひどい。今は伊東に住んでいるから新宿へ行くこともない

新宿の方は殆ど驚かなかった。なぜなら、我々が酔っ払った場合、又は

フリをして身ぐるみ持ってくのを云うのだそうで、新宿のマーケットでは酔っ払いが主としてこの被害を蒙るのである。

しかし天下名題の新宿だけあって、交番の忙しいこと、その半分は酔っ払いの介抱役で、死ん

、前後不覚の客に飲み物を押しつけて売るというのが、新宿の公然たる性格なのだから穏かではない。

てるワケじゃなくて、帝都の裏玄関、レッキとした新宿の駅前マーケットの公然たる性格だから、東京にはジャングルがあるのである

実はね。私は新宿ははじめてなんです。かねて聞き及ぶ新宿で飲んでみようと思いましてね。そんなワケで、この土地にナジミの

「実はね。私は新宿ははじめてなんです。かねて聞き及ぶ新宿で飲んでみようと思いましてね。

男はビックリしている。新宿の性格を知らないらしい。

「もう、新宿じゃア、のまん」

新宿交番が酔っ払い事件の応接にイトマなく、ただもうムヤミに忙しいのにくらべると

新宿は喧噪にみち、時に血まみれ事件が起っても、万人が酔えば自ら

てくれないと、自分の生活が成り立たなくなるからだ。新宿のアンチャンは自分のジャングルへくるお客からはぎとるが、このジャングルはクラヤミで、

新宿の交番は多忙で、酔っ払いをめぐる事件の応接にテンテコマイをつづける。ところが

で、私が東京の盛り場をノンダクレてまわる頃には、浅草は安全な飲み場の一つであった。

浅草がひどかったが、震災後、親分連が自粛して、浅草の浄化運動というようなものを自発的に、又、警察と協力的に

私が中学生のころは浅草がひどかったが、震災後、親分連が自粛して、浅草の浄化運動と

さんの銅像下の交番に詰め、お巡りさんの案内で、上野の杜の夜景を見せてもらった。

さて、いよいよ上野ジャングル探険記を語る順がまわってきた。四月十五日に探険し

だのも、かかる不良なる人物すらも茫々然と自ら失う上野ジャングルを無言のうちに納得していただこうというコンタンだった。

私も上野ジャングルには茫然自失した。私がメンメンとわが不良の生涯を御披露

上野ジャングルに於て、私が目で見、耳できいた風物や言語音響

応接にイトマなく、ただもうムヤミに忙しいのにくらべると、上野の杜の交番は四辺シンカンとしてシジマにみち、訪う人もなく、

上野は異国だ。我々が棲み生活する国から甚大の距離がある。何千里

が、しかし私が見た上野はブラリとでかけて見聞できる上野ではない。ピストルをもった警官が案内してくれなければ、踏みこむこと

たことがないとはフシギだが、しかし私が見た上野はブラリとでかけて見聞できる上野ではない。ピストルをもった警官が案内

天下の弥次馬をもって任じる私が、終戦以来一度も上野を訪れたことがないとはフシギだが、しかし私が見た上野は

私は上野を思うたびに、いつも思いだす人物があった。

ヤマさんが自然やりそうなことは思いやられるのである。上野の杜のナンバーワン女形出身などゝいうと彼ではないかと気にかかり

そのうち、上野の杜だの男娼だのと騒がれるようになり、それにつけて思わ

とヤマさんを聯想する習慣だったが、実地に見た上野ジャングルというものは、なんと、なんと、水もしたたるヤマさんと相

私は上野というとヤマさんを聯想する習慣だったが、実地に見た上野ジャングル

。男娼とパンパンだ。そんなところは、なんでもない。上野ジャングルはそんなところにはないのである。

にたちよってちょッとぶらついてみないと心が充ち足りないという上野通であったが、かほどの通人にして、カキ屋の存在を知ら

つきそってくれたが、徳田君は社の帰りに一度は上野にたちよってちょッとぶらついてみないと心が充ち足りないという上野通であっ

「この女はオシなんです。上野にはオシのパンパンが十二名いるのです」

キレイ好きで整頓ずきの彼女は、しかしノンビリと、汚濁の上野に身をまかせている。ほかのパンパン男娼はむれていたが、彼女

上野が安住の地なのだ。ほかに生活の仕様がないのに相違ない

だの良くても掘立小屋という柄の悪いこと随一の上野だが、それだけに、ここのパンパンはグズで素直で人が好くて

は広大なものだ。かかる趣味家の存在によって、上野ジャングルの動物は生活して行くことができる。

にもならないからだ。それにしても音に名高い上野の杜でランデブーするとは無茶な恋人同志があるものだが、常に

上野で危害をうけるのはアベックだそうだ。アベックはジャングルを荒すばかりで、

上野ジャングルの夜景について、これ以上書く必要はないだろう。私が書いた

で、酔っ払いをめぐる事件の応接にテンテコマイをつづける。ところが上野の交番ときては、訪う人もなく、通りかかる人もない。夜間通行禁止

平和さから我々は一つの教訓を知ることができる。上野ジャングルの構成までには、ヤクザの組織、ヤクザ的ボスの手が殆ど加え

しかし上野ジャングルの平和さから我々は一つの教訓を知ることができる。上野ジャングル

男女の落武者が、ジャングルに雑居してしまっただけだ。上野は異国であり、我々の生活から遠く離れたジャングルであるが、そして百鬼

上野ジャングルの夜景には、まさにドギモもぬかれたが、目を覆いたい不潔

だから、ジャングルが残っているのは仕方がないが、上野ジャングルの方は当分ソッとしておいてやっても、我々と没交渉でも

さしだした名刺をみると、京橋の何々会社の取締役社長とある。なるほど、しかるべきミナリ、四十ぐらいの苦味走っ