修善寺 東京

は何となく意外な眼を輝かせた。母は、修善寺の温泉へ行くと云つてゐた。

てゐるやうに、「休養」を見せかけてゐるのだ。東京にゐたつて、今だつて、自分の生活にはなんの変りもない

が、憐れに思はれた。――そして自分は、今東京に出て勉強してゐる学生が夏休みを得て帰郷でもしてゐる

もないのに、母と弟を故郷に残して自分が東京などに別居してゐることが、憐れに思はれた。――そして自分

た。――周子は、その従妹の良子が四五日前東京から遊びに来てゐるので、私の弟などと一処に毎日海へ

かつてゐた。九月の末になつて私が厭々ながら東京に帰る頃になつても未だ彼等の仕事は終つてゐなかつ

居られない言葉を次々に歌つた。――私が東京の学校に入つた初めの夏、やはり彼等が裏で仕事をして

やうに云つた。――何でも私は、その時東京へ帰つたが一層憂鬱病が募つて、吾家の部屋で朗らかな彼

その後幾日か経つて彼は、東京の癲狂院へ送られたのであるが家人は、長い間私の前

「ぢや、今の東京は？」