新潟市 佐渡 赤城 新潟 上野 東京

夕刻近い時間になつて、東京から知らせが来た。新潟市のとある旅籠の一室に於て、当太郎が毒薬自殺をとげた、といふ

た。どすぐろい雲が海へ低く落ちてゐるのだ。もちろん佐渡は見えないし、落ちこめた雲にせばめられて、余りにも小さい荒海だつた

並んでゐるのだ。二人をのせた深夜の車は、赤城の麓を通るころから雪の上を走りはじめ、上越連峰の真下をくぐり、

逆に廻つてきたのであつた。二人は直ちに新潟へ向つて出発した。

夜の十一時、深夜の列車に身を託して二人は上野を出発した。上野駅には一冬のあひだ雪が訪れてくるの

夕刻近い時間になつて、東京から知らせが来た。新潟市のとある旅籠の一室に於て、当太郎が

た住所氏名によつて、知らせは先づ東京へ発せられ、東京から逆に廻つてきたのであつた。二人は直ちに新潟へ向

ことだが、書き残した住所氏名によつて、知らせは先づ東京へ発せられ、東京から逆に廻つてきたのであつた。二人