身延山 江戸 品川 日本橋

でございます。○「ひどく降るな、久しいあとに親父が身延山へ参詣に行つた時にやつぱり雪の為めに難渋して木の下で夜を

○「御免なさいまし。女「どなたです。○「私は身延山へ参詣に参つた者ですが、雪の為めに難渋して宿屋もなにもないやう

を殺す了簡か。熊「何を云ふんだな、さつき身延山へお参りに来た人が道に迷つて此処に来たが、それは吉原

ではないやうでございますな。女「さうですよ、江戸で生れたんですよ。○「江戸は何の辺でございますか。女

「さうですよ、江戸で生れたんですよ。○「江戸は何の辺でございますか。女「生れは日本橋の近所ですが観音様

だ、ひどい奴があるもんだ、どうかしてもう一度江戸の土を踏み、女房子に会つて死にたいものだ、お祖師様の

は本町の薬屋の息子さんで、二人とも助かりまして品川溜へ預けられて、すんでに女太夫に出る処をいゝあんばいに切り抜けて

「江戸は何の辺でございますか。女「生れは日本橋の近所ですが観音様のうしろに長い間ゐたことがありますよ。