ベルリン バイロイト ミン

・ケリッヒ夫人は、亡夫の職務のため今までとどまっていたベルリンを去って、生まれ故郷であるライン河畔の小さな町に、娘とともに移り住ん

のそばに、紙の扇があって、その扇面にはバイロイトの劇場が描いてあった。二段になってる書棚には、リュープケ、モムゼン

部分や、あるいはドイツや外国の詩人のいい詩などを、ミンナに読ましたり彼に読ましたりして、時間を過ごすようにした。彼女は

ていた。しかし翌日になると、手紙は自分をまったくミンナから引離してしまうほかには、なんらの結果ももたらさないだろうということを

、どうすることができよう？　彼は狂わしくなった。もうミンナには会えないだろう、もう永久に会えないだろう、と彼は考えた。そして