幽霊塔 / 黒岩涙香

幽霊塔のword cloud

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倫敦

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何時頃人に頼まれて此の土地の電信局へ行き、倫敦のAMへ宛てた電信を差し出した小供は当田舎新聞社へまで申し来たれ、充分

充分の手数料を払い、若し其の小供が来たら、直ぐに倫敦の余の住居へ寄越して呉れと頼んで置いた。

塔の検査は之だけで終り、吾々三人直ちに倫敦へ帰ったが、翌々日は早や買い受けの約条も終り、何の故障もなしに

、若しも大事の狐猿を噛み殺されては成らぬと云い倫敦まで逃げて帰りました」

に向って頭を垂れる許りだ、叔父「其の方は直ぐに倫敦へ行ってお浦を呼んで来い、一応当人を詰問した上で、松谷

」是も有理至極の言い分で有る、余「ハイ直ぐに倫敦へ行きますが若しお浦が茲へ来ぬと言い張れば」叔父「其の時

余は直ぐに倫敦へ帰ったが、お浦は早や茲でも荷物を引き纒めて出奔した

を痛く立腹し、是から道楽を初めて果ては家を飛び出し倫敦へ行ったまま帰らぬ事に成った、婆は余ほど夏子を大事に

了った、此の事件に長三も調べられたけれど彼は当夜倫敦に居た証拠も有り、又お紺を殺して少しも利益する所はなく

叔父は其の言葉に従い翌日直ぐに倫敦へ電報で探偵を一人注文して遣った、翌々日に注文に応じて来着し

益々落ち着いて「斯う成れば最う此の土地で探すよりも倫敦で探す方が早や分りだ」と、独語にしては、高過ぎる程の

は余り飛び離れた言葉だから、余「此の犯罪は何か倫敦に関係が有ると云うお見込みですか」探偵「イヤ未だ何の見込みも定まり

限りで有りますけれど此の様な重大な異様な犯罪は必ず倫敦で取り調べる探偵に勝ちを得られます」余「では倫敦へお出ですか

倫敦で取り調べる探偵に勝ちを得られます」余「では倫敦へお出ですか」探偵「ハイ、ですが、兎に角検屍官が此の死骸を何う

陪審員も解散した、探偵森主水は、愈々此の事件は倫敦へ帰って探らねば此の上の事を知る事は出来ぬと云って

な恐ろしい土地には居られぬと云って鳥巣庵を引き上げ倫敦の邸へ帰った、高輪田長三は死骸がお浦で無かったのは先ず

それから切符を、先ず倫敦まで買ったが、先の人が何所まで買ったかと思い、夫となく

て見るとローストン駅まで買ったと云う事だ、扨は倫敦迄行くのではないと見えるが、何でもローストン駅は何処かへ分れる乗り替える

ぬと、先ず電信を認めて叔父に宛て、急用の為倫敦へ行くが用の済み次第に帰るから心配するなと書いて発し、爾し

ローストンの停車場から秀子に宛て電報を出したけれど用事の為倫敦へ行く様に書いて置いた。余が数日帰らねば必ず倫敦を探す

が数日帰らねば必ず倫敦を探すに違いないが、倫敦に居ぬとなれば其の上の探し様はない。

に遭ったとて、誰がそうと知る事が出来よう。単に倫敦から行衛知れずに成った者と見做されて了うのだ。

此の様な決心で塔を出て、夜に入って倫敦へは着いたが、最う終列車の出た後だ、一夜を無駄に明かす

が有る、其の財産は父の遺命で悉く金に替え、倫敦の銀行へ托し、利殖させて有る、其の額が今は一万ポンドの上

て一夜を明かし、翌日直ぐに英国へ帰って来たが倫敦へ着いたのは、夜の九時頃である、途々の船の中、

ぬ、秀子に逢う訳には猶更行かぬ、余は倫敦へ着いた者の其の後は何うして宜いか暫しがほど躊躇したが

と余の問う言葉に、お浦「彼は高輪田が倫敦から得たのです」倫敦から得たと云えば、何うやら森主水の其の

お浦「彼は高輪田が倫敦から得たのです」倫敦から得たと云えば、何うやら森主水の其の時の言葉が全く無根で

時の言葉が全く無根でもなさそうだ、余「エ倫敦から」お浦「ハイ能くは知りませんけれど、何でも解剖院の助手

の高輪田長三が其の後も秀子を陥しいるる為に倫敦の解剖院の助手に賄賂して、女の死骸を買い取った事までも分り

の財産を引き出して検める事を知り、それを窃む為に倫敦から忍び返ってお紺を殺したのだ、其の疑いを輪田夏子へ掛け自分

巴里

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室を出る事が出来たなら必ず此のポール・レペルと云う巴里人をも尋ねて見よう。秀子を助け得るは此の人の外に無い

細かく「今の境遇にて真に御身を助け得る人は仏国巴里ラセニイル街二十九番館ポール・レペル氏の外には決して之なく候、既に

ない、私の身には大変な損害ですけれど云いましょう。巴里のラセニール街二十九番に住んで居るポール・レペル先生です」扨は日影色

養蟲園を出て、余は直ぐにも巴里へ行き度い程に思ったが、併し先ず秀子の顔を見たい。

唯一つの頼みとするは甚蔵から聞いた彼の巴里のポール・レペル先生だ。兎に角も此の人に相談する外はない。

ぬけれど外に何の工風もないから、余は早速巴里を指し出発する事とした。

させません」先ず相談一決した様な者だ。巴里へ行って何の様な事になるかは知れぬけれど外に何の

とは此の時の余の思いであろう。一刻も早く巴里へ行きレペル先生とやらに逢って、一刻も早く秀子を救う手段を得

馬鹿が有る者か、其の潔白の証拠を集めるのが此の巴里行の余の目的ではないか。

せて来た。余は秀子に向い、止むを得ず巴里へ行くけれど一夜泊で帰ると云い猶留守中に何事もない様に充分

がなくば、私は止むを得ぬ用事の為大急ぎで巴里へ行って来たいと思いますが」叔父は目を張り開いて余の

を退き、仕度もそこそこに愈々此の家を出発した。巴里に行って果たして何の様な事になるか殆ど無我夢中である。

、話は此の後に幾等もする時が有るから巴里へ行くなら早く行って来い」といい褥の上に身を横たえた。

。のみならず余よりも工夫に富んで居る、余は巴里へ行く前に彼に相談するが然るべきだ。唯彼は秀子に対する

此の翌日の午後には早や巴里へ着した、ラセニール街二十九番館へ尋ねて行った。街は至って静か

同席したのみならず、余も叔父と共に其の後巴里へ来て其の頭取に饗応せられた事もある、此の人に話せば

今こそは使って遣る可き時である、幸に此の巴里にも叔父の懇意な取引銀行が有って其の頭取は曾て英国へ来て

が若し夏子でなければ、成るほど甚蔵は余に巴里へ行けなど呉々も云う筈はない。

伺い度いは、貴方の両三日来の振舞いです、貴方は巴里のレペル先生の許から顔形を持って来た相ですが其の顔形を何う

を御存知です」余は言葉短かに養蟲園の事柄から巴里へ行って来た次第をまで述べ終り、「多分貴方が秀子を劫かす

、殆ど椅子から飛び離れんとする迄に驚いて「エ、巴里のレペル先生とな、何うして其の様な事を御存知です」余は

私は貴女の清浄潔白な証拠か証人かを得る為に巴里へ行き、今帰る所ですが、既にお聞きの通り其の目的を達せず