松山日記 / 種田山頭火
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眼覚めて起床、よねんなく執筆、暁天にひゞきわたる護国神社の太鼓の声は尊い。
護国神社の大鼓と共に起きる、せつかくの日曜日が雨で気の毒だ、私は雨傘が
起床してから、東雲神社の大鼓、そして護国神社の大鼓がとうとう鳴りだした。
早くから眼は覚めていたけれど、――護国神社の大鼓が鳴りだより起きた。
したので気持よく眼が覚める、起きると間もなく護国神社の大鼓が鳴りだした。
熟睡の熟睡だつた、護国神社の大鼓も知らなかつた、起きるより先づ一杯、そして道後へいそいで一浴。
早起、すつかり片づいてから、東雲神社の、それから護国神社の大鼓が鳴つた。
ほどよい目覚め、護国神社の大鼓の声と同時だつた。
とろ/\したと思つたら、もう護国神社の大鼓が鳴りだしたので起きた。
まづ東雲神社の大鼓、それから護国神社の大鼓、それから、それから。――
が覚めたのですぐ起きる、東雲神社の大鼓、それから護国神社の大鼓。
とう/\護国神社の大大鼓。
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いそいで汽車に乗つて、九州へいそいだ、三時、関門を渡る、感慨ひとしほであつた。
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起床してから、東雲神社の大鼓、そして護国神社の大鼓がとうとう鳴りだした。
早起、すつかり片づいてから、東雲神社の、それから護国神社の大鼓が鳴つた。
東雲神社の大鼓と共に起床、寝ね足りて、安易な気分。
まづ東雲神社の大鼓、それから護国神社の大鼓、それから、それから。――
未明地震、眼が覚めたのですぐ起きる、東雲神社の大鼓、それから護国神社の大鼓。
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汀居を訪ねる、しばらく雑談してから、同道して、道後山へ観梅と出かける、紅梅林で、しかも散りぎわで、いやらしかつた、梅は
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清君と私とは高商校へ、三君は修養会場龍穏寺へ。
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時、お暇乞する、四時若松で乗船、波おだやかに四国へ、私自身の寝床へ。――
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松山日記
松山のやうなよい場所で、そしてこんなによい知友があつて、よくなれない
“早春日記”“松山散策ところ/″\”“野人断想”
おとなりの紅梅がうつくしい(松山には紅梅が多い、それを好く人も多いらしい)、降りそぼる雨
午後またポストへ、ついでに久しぶりに大街道散歩、松山はよごれてゐないといふ感じがする。
午後は松山散策、――立花から郊外へ(朱鱗洞君の墓を展した
ポストまで用があつて、そして松山散策、――商品陳列所で名産観賞、図書館で新聞閲覧、練兵行事拝見
午後はいつものやうに松山散策、――正宗寺拝登、子規堂、子規居士鳴雪翁埋髪塔、本堂
毎日の行事“松山散策”は、曇つて寒いので、今日は止めにした、外出
ばかりだ、活けるやうな花は見つからなかつたが――松山の郊外には野の花が少ないが――三句拾つた。
松山で多いのは――
午後は例の如く松山散策、大街道のポストまで。
厚志を持つて道後へ、それから松山へ、“歴史”第二部第三部を観た、よかつた、
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春光うら/\、駅まで歩いて行く、京都の豊田さんからの贈物――赤蕪漬――を受け取つて、いそ
恥ぢ入る外なかつた、いよ/\明日山陰へ出て京都大阪から東京への旅行に出るそうだ――私はさびしい。
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十日足らずの――来庵である、なつかしく話す、広島の柊屋の話はなつかしい。
出立、中国九州の旅へ、――九時の汽船で広島へ向ふ。
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、私には山口はおもひでのふかい街である、(熊本を第二の故郷とでもいふならば)第三の故郷といつて
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午前中にやつとこさで句稿をまとめあげた、さつそく速達で東京へ送つた、やれ/\御苦労々々々。
なかつた、いよ/\明日山陰へ出て京都大阪から東京への旅行に出るそうだ――私はさびしい。
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のだから殊に、しと/\降る、ほんに春雨だな、目白が出て来て囀づりまはる、貴族的団体だ。