奥州 筑波 長命寺 隅田 堺町 福岡 向島 東京 両国橋 隅田川

依怙地で、自分ばかりが博識がるものなり、菊塢は奥州よりボツト出て、堺町の芝居茶屋和泉屋勘十郎方の飯焚となり、気転が利く

は人垣と立つどひ、川上はるかに見やりて、翠かすむ筑波の山も、大尉が高き誉にはけおされてなど口々いふ、百本杭より

押分くるやうにして辛く車を向島までやりしが、長命寺より四五間の此方にて早や進も引もならず、他の時なればうるさき

隅田の春

朝の心の快濶なりしうつりか、其飛々の独笑み隅田の春光今日新し。（明治26年３月〜４月「東京朝日新聞」）

博識がるものなり、菊塢は奥州よりボツト出て、堺町の芝居茶屋和泉屋勘十郎方の飯焚となり、気転が利くより店の若衆となり

人の山を潜り出て見れば、嬉しや、此に福岡楼といふに朝日新聞社員休息所の札あり、極楽で御先祖方に御

しもあるべし、人を押分くるやうにして辛く車を向島までやりしが、長命寺より四五間の此方にて早や進も引もならず、

、顔洗ふ間も心せはしく車を急せて向島へと向ふ、常にはあらぬ市中の賑はひ、三々五々勇まし

の春光今日新し。（明治26年３月〜４月「東京朝日新聞」）

て歩む人は皆大尉の行を送るの人なるべし、両国橋にさしかゝりしは午前七時三十分、早や橋の北側は人垣と立つ

角にも一個の豪傑「山師来て何やら植ゑし隅田川」と白猿が、芭蕉の句をもじりて笑ひしは、其身が世