木曽道中記 / 饗庭篁村
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時を失ふべからず先づ木曾名所を探り西京大坂を囘り有馬の温泉より神戸へ出て須磨明石を眺め紀州へ入りて高野山へ上り和歌の
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に乘る此邊平地とは云へ三方山にて圍ひ一方は和田峠に向ツて進むなれば岩大石ゴロタ石或ひは上り或は下る坂とまでならねど凸凹
雨を呼ぶ蛙よ明日は和田峠
甚だ通なり甞て出立の時に曰く木曾海道美人に乏し和田峠西もちや村の餅屋に一人また洗馬に一人あり洗馬のは予未だ其比
んと思ふて問ふとき付加へられて力を落す詞なり和田峠の上りは馬に乘りたれば野々宮高砂なりしが下りは侮りて遊び/\
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露伴子に引別れたる事の面なさよ今日は先に中津川に待ち酒肴を取設け置て過ちの償ひとせんと心に思ひて中津川
取設け置て過ちの償ひとせんと心に思ひて中津川の橋力に着けば一封の置手紙あり即ち兩氏の名にして西京にて會
中津川は美濃の國なり國境は馬籠と落合の間の十石峠といふ所なり
中津川の宿を立んとするに左の足痛みて一歩も引きがたしコハ口惜
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土にて何も作りがたしとぞ此所は輕井澤より沓掛追分小田井の三宿の間なり四里程なれば忽ち小田井に着きて※車を下りし
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て露伴子に聞けば何でも此を越して夫から諏訪の湖水が見えて夫から下諏訪だ此は云て見ればお前立といふやう
今まで何とて目には入らざりしといぶかる頓て下の諏訪秋の宮に詣づ神さびたるよき御社なり上の諏訪に春の宮あり
諏訪秋の宮に詣づ神さびたるよき御社なり上の諏訪に春の宮あり莊嚴目をおどろかすと聞しが夫へは詣でず此宿より
をおどろかすと聞しが夫へは詣でず此宿より上の諏訪はまだ三里もありと聞ばなり正午少し過るころ下諏訪の温泉宿龜屋に着く
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の骨なり兎も角も有合せもので先づ御酒をと云ふは江戸臭くして却つて興味なし諸事旅は此事よと稱して箸を下すに味
ず椀の數少なし馬は何時頃より來り待つぞと問へば江戸のお客樣は氣短でお出でなさるゆゑマダ來ぬかと叱られぬ爲め夜明
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沒所さだかならず思ふに此は位牌所なるべし宮の腰に八幡宮あり義仲此の廣前にて元服せしといふ宮の腰とは木曾が舘の跡
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叫ぶばかり山も川も只飛び過ぎ熱川より奈良井の間の諏訪峠といふ所は車の片輪を綱にて結びて※らぬやうにし片輪のみ
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の原野開墾年々にとゞきて田畑多しこれ古戰塲桔梗ヶ原雨持つ空暗く風慘し六十三塚など小さき丘に殘れり當年の矢叫び
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令旨を得るより雲の如く起り波の如く湧き越後に出で越前に※り忽ち京都へ伐め上り時めく平家を追下し朝日將軍の武名を輝かしき
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また委しく答へて木曾と美濃と音調の差あることを論じ名古屋はまた異なりと例證に唄ひ分けて聞す其聲亮々として岩走る
共にはなれてやゝ淫猥の臭氣あり言語も岐阜と名古屋半交となり姿形も見よげになれり氣候も山を離れて大に暖かみ
に聞ざるも殘念なればと夫を呼びて謠はすに名古屋の者なれば正眞の木曾調子にはゆかずと謙遜して偖唄ふ其
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の温泉より神戸へ出て須磨明石を眺め紀州へ入りて高野山へ上り和歌の浦にて一首詠み熊野本宮の湯に入りてもとの小栗と
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木曾のナア木曾の御嶽山は夏でも寒い袷やりたや袷やりたや足袋添へて
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といふ少し縁續きなれど參らず伏見を經て太田川にかゝる大河なり木曾の棧橋太田の渡りと古く謠ひて中山道中やかま
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には何事も都めくに特に此の橋力といふは中山道第一といふべき評判の上旅籠屋にて座敷も廣く取扱ひも屆き酒も
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かゝれば機關の云立めけど少しは古物類も覗く爲に奈良へ※りて古寺古社に詣で名張越をして伊勢地に入り大廟に
ぬ間に蝦夷長崎へも到りヱヘンといふ響きのうちに奈良大和へも遊ぶべし况んや手近の温泉塲など樋をかけて東京へ
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ず先づ木曾名所を探り西京大坂を囘り有馬の温泉より神戸へ出て須磨明石を眺め紀州へ入りて高野山へ上り和歌の浦にて一
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年せば卷烟草一本吸ひ盡さぬ間に蝦夷長崎へも到りヱヘンといふ響きのうちに奈良大和へも遊ぶべし况んや
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なれば國も上野が信濃となり管轄縣廳も群馬が長野と變るだけありて寒さは十度も強しといふ前は碓氷後
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の如く起り波の如く湧き越後に出で越前に※り忽ち京都へ伐め上り時めく平家を追下し朝日將軍の武名を輝かしき凡人にてはあら
いふわづかの後楯のみなりしに心逞ましき者なればこそ京都へ度々忍び上つて平家の動靜を窺ひ今井樋口と心を合せ
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流と共にはなれてやゝ淫猥の臭氣あり言語も岐阜と名古屋半交となり姿形も見よげになれり氣候も山を離れ
山あり觀音坂といふ邊など誠に面白き所なりし岐阜の停車塲の手前の料理店に入りて晝を認め是より我は足の
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もあるべし我輩越後に赴きしとき米山を越えて後に新潟にて米山節を聞しが其の音節調子重を負ふて米山を越るによく
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の頂の大岩道を行く下されること數度なり左右の松山にヂイ/\と濁りし聲に啼く虫あり何ぞと聞ば松虫と
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櫻」と題して沿道の風土人情を細に觀察して東京公論へ載するにつきまぎれぬ爲にしたるなり此の旅行の相談まとまる
も遊ぶべし况んや手近の温泉塲など樋をかけて東京へ引くは今の間なるべし昔の人が須磨明石の月も枴に
東京は重き不平均は生じたるならん我々四人反對に東京より地方へ出て釣合をよくせんと四月廿六日の朝上野
を擧げたるがよし夫までにあらずとも地方は輕く東京は重き不平均は生じたるならん我々四人反對に東京より地方へ出
博覽會開設につき地方の人士雲の如くに東京に簇集きたる之に就て或人説をなして米價騰貴の原因とし
つゝ先んじて上る上りて頂上に近くなれば氣候は大に東京とは變りて山風寒し木の間がくれに山櫻の咲出たる千蔭翁が
影もなし大かたは此邊の貴家豪族が選び取て東京紳士の眞似をなし贋雪舟と共に床の間にあがめ置くなるべし憎むべし
語るうち下座敷に月琴の響き聞ゆ怪しの物の音や東京を出て未だ鳥の謠ひ奏づる外人間の音樂は聞ずさすが
まで持ちかへるゆゑ日數十四五日は掛るといふ果して東京へは二十日目に屆きたり雨は上りたれど昨日よりの降に
して下されよとの事にそれにて頼みしが此等より東京へ出すには一旦松本まで持ちかへるゆゑ日數十四五日は掛るといふ
よと獨り思ふ此には通運會社あれば持重りの手荷物を東京へ送らんと荷拵へして頼めば目方を量るも賃銀を定むるも
を終りて奇を丘壑に埋むべし然らずして東京へ出てなまじひに學問をせば猾智狡才賄賂を取るにあらね
曰く山川秀絶の氣凝りて斯る男子を出す此人若し東京に出て學ぶこと多年ならばいかなる英傑とならんも知れずと我輩曰く斯
なき此の山中にと氣付きて始めて此男の徒らと知りしなり東京に猫八とて犬猫より鷄烏の眞似をする者あれど汝の絶技に比
たき顏の色に我はヱヘンとして斯樣な物は東京に住む者が流行に逐はれて馬鹿の看板に致すなり地方の人は
て道人の前へ一揖して失禮ながら其の革提は東京で何程ぐらゐ致しますと問かけしが其の樣子アヽ欲しやこれを提げな
入りて晝を認め是より我は足の痛み強ければ一人東京へ歸らんと云ひ梅花道人は太華氏露伴氏の跡を追ふて西京に
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て停車塲へ着く此時おそく彼時迅く※笛一聲上野の森に烟を殘して※車はつれなく出にけり此が風流だ
出て釣合をよくせんと四月廿六日の朝上野の山を横ぎりて六時發横川行の※車に乘らんと急ぎしに
し定義なり山一つ越えて輕井澤となれば國も上野が信濃となり管轄縣廳も群馬が長野と變るだけありて寒さ
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下れば即ち筑摩川にて水淺けれど勇ましく清く流れて川巾は隅田川ほどあり船橋掛る半渡りて四方を見れば山々雨を含みて雲暗く水