武蔵野 秩父 本郷 長崎 千葉 池袋 東京 赤羽 巣鴨

通りこし、愈々完全に人家がひとつもなくなつて、見はるかす武蔵野、秩父の山、お寺の隣りであつた。バスなどの無い時代だから

愈々完全に人家がひとつもなくなつて、見はるかす武蔵野、秩父の山、お寺の隣りであつた。バスなどの無い時代だから、大股

に夜逃げする。婆さんは金光教の信者だつたので、本郷の金光教会へ引きとられた。これらの出来事を僕は知らずにゐた

池袋で省線を降り、二十分ぐらゐ歩くと田園になり、長崎村といふ所を通りこし、愈々完全に人家がひとつもなくなつて、

をもらひ、辰夫は退院し、鉄道の従業員となつて千葉の方へ行つたといふ知らせを受けた。

どうやら病気の治りかけた一日、千葉の方へ辰夫を訪ねた。辰夫は出張で不在だつたが、あの母

ない。たうとう、板橋の中丸といふ所へ行つた。池袋で省線を降り、二十分ぐらゐ歩くと田園になり、長崎村といふ所

の一方で、秋の訪れる頃、病状言語を絶し、毎朝池袋から省線で巣鴨の方へ行く筈なのに、プラットホームの反対側が赤羽

まだ夏休みが半分ぐらゐ残つてゐたが、突然思ひ立つて東京へ戻つた。その日、突然呆気にとられる母の顔に苦い思ひを

僕が早く帰つてきたので東京の婆やは喜んだけれども、神経衰弱は悪化の一方で、秋の訪れる

、あつちは赤羽行きだからイケないとそればかり考へるうちに赤羽行きの車掌が出発の笛を吹くと、アッ、たしかこつちが俺の行く

なのに、プラットホームの反対側が赤羽行きで、あつちは赤羽行きだからイケないとそればかり考へるうちに赤羽行きの車掌が出発の笛

巣鴨の方へ行く筈なのに、プラットホームの反対側が赤羽行きで、あつちは赤羽行きだからイケないとそればかり考へるうちに赤羽行き

秋の訪れる頃、病状言語を絶し、毎朝池袋から省線で巣鴨の方へ行く筈なのに、プラットホームの反対側が赤羽行きで、あつち

た。一人は辰夫と云つて、之は当時発狂して巣鴨養保院の公費患者であり、も一人は修三と云つて（菱山で