牛込 江戸川 本郷 江戸 長江 松戸 東京 曳舟 小岩

年六月三十日、第十一回目の文藝講演會を牛込の演藝館に開き、演説終りて、同所に小宴を催し、夜の十時

三四室ある一亭、瀟洒にして、直ちに水に接す。江戸川溶々として流る。下流に、國府臺の林丘、欝蒼として横はる

てとて、松本道別は、佐々木作樂氏と共に、本郷の方に去り、山根勇藏氏は、余と共にして、終に余が

つ見る。東京の近郊、舊き道標は多けれども、江戸の名あるは、他にあまり見當らず。生れぬ前の江戸の世に

名あるは、他にあまり見當らず。生れぬ前の江戸の世にあひたる心地して、いとゆかし。路の竝木に、藥師の昔

ゞく。やがて又、遠く上りて、また白鴎の如し。長江むなしく悠々として天を浮べて流る。江山に對すれば、天地は人間に

て、此料理屋獨得の川魚料理を肴に、酒のむ。松戸より來られしかとは、粗末なるわれらの服裝、どうしても、

藥師、右は江戸道とある石標二つ三つ見る。東京の近郊、舊き道標は多けれども、江戸の名あるは、他に

を曳く。兒は、舟中に坐して菓子を食ふ。東京にはめづらしき景致也。木下川藥師の石標に導かれて川と、

曳舟通りを行く。曳舟もがなと思ひしに、果して、曳舟あり。夫は舟にありて棹をとり、妻は岸上にありて、

は、電車に由る。徒歩して、曳舟通りを行く。曳舟もがなと思ひしに、果して、曳舟あり。夫は舟にありて棹

吾妻橋までは、電車に由る。徒歩して、曳舟通りを行く。曳舟もがなと思ひしに、果して、曳舟あり。夫は

山根氏にまかせて、そのさしづのまゝに切り上ぐ。小岩停車場より汽車にのることと定めて、徒歩す。日暮れたり。螢ぼつ

小岩停車場に着きて、上り汽車を待つ。片田舍の小驛の暢氣さ