房州紀行 / 大町桂月

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地名一覧

烏山

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口を横切ることなれば、浪あらく、舟うごくこと甚し。烏山は風邪の心地なりとて、一隅に身をちゞめ、羽衣は船暈の氣味なり

杯をかたむけて止みぬ。かたみに連歌などなしゝが、烏山頭いたむとて、早く臥す。羽衣もわれも床に入りて、一唱一和せ

、ひねもす波騷ぐ岸を辿りし名殘にやと、烏山のうちいづるに、げにわれもと、相槌うちて笑ひし。

富士山

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隔てて、相州の山を望む。雲もし去らば、富士山はその上に現はれむ。顧みて、わが居る山を見れば、峰勢天

鹿野山

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送られて、左に峯ひとつ攀づれば、こゝは鹿野山の峯つゞきにして、眼界いとひろし。殷紅血を流すが如き夕

を見上げて、右折すれば、九十九谷に出づ。こゝは鹿野山の一部にて、眺望いと好く、九十九の谷々を見下すとて、この名あり。

を下る。四里にして遠し。山下の茶店に、鹿野山のむかしを慕ふ老翁のこちごと聞きつゝ、一杯の茶に渇を醫し

富山

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を訪ひ、延命寺の古墳に里見氏の昔を弔ひ、富山を攀ぢ、清澄山に上り、誕生寺を訪ひ、洲崎辨天にま

品川

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盃を共にせむとして、また得べからず。品川海上より天邊一髮の青螺を望む毎に、覺えず愴然とし

東京

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みな甲板にのぼりゆきぬ。浦賀より房州にゆく舟路は、東京灣の口を横切ることなれば、浪あらく、舟うごくこと甚し。烏山は

灣内海岸の見るべきは、此の間を最とす。たゞに東京灣内のみならず、かゝる水石相鬪ふさまは、他にも多くは見

くだけて、雪を崩し、花を散らすさま、いとおもしろく、東京灣内海岸の見るべきは、此の間を最とす。たゞに東京灣内のみなら

。曾遊の蹤を辿りて、丸屋にやどる。坐して東京灣と關八州の山野とを眼下に見下す絶景も、北吹く風のさむき

浦賀

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む餘地なければ、この一行みな甲板にのぼりゆきぬ。浦賀より房州にゆく舟路は、東京灣の口を横切ることなれば、浪あらく

連歌などなしゝが、やがて微雨至りければ、みな下る。浦賀に立ち寄りしほど、雨小やみせり。こゝより新たに乘りし一行の客あり