我孫子 富士山 土浦 筑波 霞ヶ浦 筑波山 筑波町 松戸 水戸 福岡 千住 東京

、風寒き春の朝なり。千住、松戸を經て、我孫子まで徒歩し、そこより汽車に乘る。大利根を過ぐれば、筑波山近く孱顏を

に上らむと思ひたちしは、明治二十四年の夏、富士山にのぼりし時の事なるが、荏苒たる歳月、つくばねの名に負ひて

土浦にて汽車を下る。一帶の人家、霞ヶ浦に接す。白帆斜陽を帶びて、

旅館と料理屋とを兼ねたり。浴後、酒を命ず。土浦、筑波の宿に比して、その味大いに好し。且つ旅宿も今夜が最終なれ

蝦蟇の目を張つて蟠るに似たりともいふべき乎。筑波の市街は、山腹、即ち蝦蟇の口の上に在りて、層々鱗次す。

あり。云ひし言葉はわからねど、鋭く耳に徹す。筑波の女神の影向にやと、仰ぎ見れば、美婦、岩頭に立てり。傍

料理屋とを兼ねたり。浴後、酒を命ず。土浦、筑波の宿に比して、その味大いに好し。且つ旅宿も今夜が最終なれば、

土浦にて汽車を下る。一帶の人家、霞ヶ浦に接す。白帆斜陽を帶びて、霞にくれゆく春の夕暮いとあはれなり

宿を朝鳥と共に立ちわかれて下る。顧みて筑波山を望めば、七合目以上には、『しが』かゝりて白し。玲瓏に非ず

澤田子と余とは、立身石を見て、南に筑波町に下らむとす。さらばとて、山頂に手をわかつ。天風、雲を送

、空はくもりて、風寒き春の朝なり。千住、松戸を經て、我孫子まで徒歩し、そこより汽車に乘る。大利根を過ぐれば

、澤田子は五勺飮む、この代六錢なり。松戸に來りし時、正午に近し。澤田子二錢の芋を買うて午食に

を封して眺望なし。同遊の横山子、これより水戸に赴かむとて、下館を指して、西に椎尾に下らむとし、

呼んで、『しが』とは云ふなり。北條、今鹿島、福岡、水街道を經て、この夜、野木崎村に一泊す。

たれど、空はくもりて、風寒き春の朝なり。千住、松戸を經て、我孫子まで徒歩し、そこより汽車に乘る。大利根を

娘に問へば、この地に二人の老いたる藝者あり、東京より來れるなりといふ。

は東京に出で居れり。妾も二三月の後に、東京に行かむといふ。良縁ありたるにやと問へば、唯※かぶり振る。

姉は、家に在りて養子を迎へ、中の姉は東京に出で居れり。妾も二三月の後に、東京に行かむといふ