宮城 ソビエト 九州 東京 新橋 神田 京橋

ケイコのはじめには宮城をよう拝し

宮城前を過ぎる時には

ヒットラアのドイツとソビエト・ロシアが同盟をむすぶ

九州の田舎から出て来たばかりの女学生に

食費だけは九州から送ってくれるのを差し出します

私の兄は大戦が始まると間もなく九州で死んだ

苗字は――まだその人の一族が、たくさん東京に居りますし、

「東京に行け」と兄が言い出したのです。

それには、東京だ。

それには東京だ。兄は、そう思ったのです

幸い東京には、兄の高校時代の先輩で

母は私が東京へ立つ前の晩に

こんな中で東京で勉強するのだから、

そうして、東京に出ました

東京！

東京のありさまも荒れすさんで来てはいても

たそがれの東京の町なかへ流れ入る。

奥さんはもと新橋へんの小料理屋に出ていた人で

神田の方で催される文化講座に、お前の講演もあることを知って

夜の神田の大通りを、とめどなく高笑いしながら走る女を人は気ちがいだと見た

行きついた所は京橋裏の築地寄り