本所 北海道 本郷 浦上 鞍馬山 関西 大阪 淀橋 大塚

韮山　（相手の言葉を無視して）本所の病院の方に私は行って来たんですよ。いらっしゃらん。院長と

佐田　北海道に従姉が一人居る筈ですけど、生きているかどうか、……生きて

いくら、兄さんにつがせて下さいと言っても、駄目。本郷の伯父さん……いつか此処へも来てくれたわね……あの伯父

浦上　こんな所から失礼して。（靴を脱ぐ）ベルが鳴らないようですね

浦上　無いんで、困っているんですよ。こう日が迫って来ちゃって

浦上　もう失礼しますよ。いつまで言っていても仕方が無いと思うん

三好　鞍馬山だけは、かんべんしてくれないかな。あいつをやられると、脳味噌を引っ掻きまわされる

き、と言う奴だ。……そら、お袖さんが鞍馬山をやり出した。（なるほど、上手奥で鞍馬山の最初の部分の大薩摩が、

袖さんが鞍馬山をやり出した。（なるほど、上手奥で鞍馬山の最初の部分の大薩摩が、殆んど三味線の糸が切れんばかりの烈しさで鳴り

（叩きつけるような鞍馬山の三味線が、音量一杯に鳴り渡って来る。それを聞くともなく聞きながら

らめたら、いいじゃありませんか。もともと六七年前に関西からポッと出て来て、小金を持っているもんだから何か始めようとマゴマゴし

実はもっと早くあがらなきゃと思っていたんですが、大阪の公演を控えていたもんで、まるきり、暇が無くて――。

お袖　とんだ事をおっしゃる。淀橋の韮山正直と言やあ、あの島では名代だそうですからねえ。彼奴に

んが、そちらにそれだけの誠意さえ有れば、白山や大塚に出している待合あたりからでも、それ位の金のひねり出せん法は