夜の道づれ / 三好十郎
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男一 ……(怒つたような調子で)烏山のうちまで歸るんですがね――
そりや祖師谷でも下だ。僕んとこは上で、烏山の近くです。
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男二 甲州から、ズーッと、この――
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女 神奈川縣愛甲郡荻野村上荻野、本田源吾方。んだけんど、ダメだあ。逃げられない
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男 (ほとんど同時に)この、荏原の方へ拔けて行きたいんだがね、どこいらから曲りやいいか―
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男二 ええ。とにかく甲府へ出て――
男一 甲府まで、そんな君――
御橋 ……甲府まで行くんですつて?
熊丸 はあ。いえ、甲府までと、きまつたわけじやありませんけど――
行くんでしよう? それが、こんな夜の夜なかに、甲府といえば、たしか三十里――それ位かな――それを歩いて行く
足を持つていて、道がある。道の向うに甲府だとか大阪だとかがチャンと在るとすれば、安心なもんじ
道が有つて足が有つて、そいで道の先きに甲府が有るのは誰だつけ?
…(沈んだ靜かな口調で)そいで君は、甲府へ行つて、何か當てがあるの?
もして來ました。……しかし、やつぱり、甲府へ行つて見ることにします。
熊丸 ……甲府の町はずれに、遠縁にあたる男が一人います。……ひとまず、そこへ
それだけはハッキリわかつているんで……とにかく……とにかく甲府へ行つて。……すみません。
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から、どつかへ行くんだつたら、一度なるべく早く、奈良へ行つて見ないかね。いや、かくべつの理窟はない。行つて見
御橋 奈良にはいろんなものが有る。みんな日本のエキスみたいなもんでね。それが
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男二 (なんの感情もなく)千代田區麹町三番町三丁目千百三番地の六、熊丸信吉。會社員。
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男 このう、五反田の近くへ出るんですけどね。
御橋 五反田? 五反田じや、大變だ。そうさなあ――ぜんたい、どつから來た
御橋 五反田? 五反田じや、大變だ。そうさなあ――ぜんたい、どつ
御橋 そうか。じやねえ――いやいや、僕も五反田までのくわしい道は知らん。どつちせ、澁谷までは出なくちやなら
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んとこを右へ斜めに入つて行きや、十分位で代々木に出る。その方が一番かも知れん。
の四つ角に出たら、それを右に取つて行きや代々木、原宿、澁谷と一人でに行ける。早道をする氣なら、その途中の
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に出たら、それを右に取つて行きや代々木、原宿、澁谷と一人でに行ける。早道をする氣なら、その途中の、そう
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は出なくちやならんだろうから、すると――いや、新宿まで出てしまつて、環状線を行けば一番早やわかりだが、そうすれ
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間に黒くこげたままの燒跡や、貧しい街路樹など――東京の舊市内を出て一里ばかり行つた幹線道路の、荒れすさんだ光景と