博多 九州 佐賀 山形 下谷 上野 御徒町 東京

の音をさせながら）相憎とうちのおやじは、博多の方へ入札に出掛けておって、酒の相手がなかけんなあ。

だ、もうあれから二十年の上もたった。フフフ、九州は肥前佐賀、やっぱしこんな風な大川が流れててな、江湖々々ちった

六平　フフ、この引き方で、ジョリンモクが出るとたい。佐賀からの注文でな、これば床板にするちう、町にゃゼイタクな仁の

六平　そうだそうだ！　筑後川すじから佐賀へんにかけちゃ、舟幽霊じゃとか、人のシリコ玉あ抜く川太郎じゃ

仲蔵　佐賀まで流すとです！

て、みるみる遠ざかる声で）良い若えしが、三人とも、佐賀へんでおかしなオナゴなんどにのしあげたりせんごつねえ――！

待って江湖の方が上げ汐になったのば見て佐賀の方へのぼって行くだ。その、この川と合さる口のへんで水面

、こういうわけだぞ、もうあと半みちも下ると、佐賀から流れて来とる江湖川がこの川にあわさる。江湖川ちうのは汐

それに混って佐賀という中都市の午前の物音。

仲蔵　ああ、風呂にもいれてもろたし、久しぶりに佐賀の酒も飲んだ。やっぱしお神さま、日田の山奥の地酒よりや、

あれから二十年の上もたった。フフフ、九州は肥前佐賀、やっぱしこんな風な大川が流れててな、江湖々々ちったっけ。

それらの音がしずまり、夕暮れの山形材木店の店先の風景になる。

マキ　小父さんのホントの名は、山形五郎というんだって？

肥前　うん？　うむ。……山形の五郎か。久しい話だ、もうあれから二十年の上もたった。

陸前　まったくだあっ！　ここは、上野から下谷へかけての屋外労働者の合宿所、越後屋簡易旅館だぞっ！　しかも

陸前　まったくだあっ！　ここは、上野から下谷へかけての屋外労働者の合宿所、越後屋簡易旅館だぞっ！

へ病気になったりしてよ。……気がついたら上野の地下道に寝てたってわけだ。……そうよなあ、全くマキベえの

物を食わなきゃならねえだの、うるせえったら。まるでへえ、御徒町の井上先生のまわし者みてえな事ばっかし云うんだ。

が、身をたてるなら東京だと思って十八の時に東京に来たんだ。……そいでいろいろやった。が、うまく行かねえ

、門司へ出て働いていたが、身をたてるなら東京だと思って十八の時に東京に来たんだ。……そいで