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昭和十九年の新春から、森川信一座が東京旗上げ興行で大阪から上京し、国際劇場へでた。私は彼がドサ廻りのころから好きで

姿の芸人が、レビュウ子らしい姐さんを口説いている。九州は長崎の五島というところへ、興行に誘っているのである。

芸人が、レビュウ子らしい姐さんを口説いている。九州は長崎の五島というところへ、興行に誘っているのである。

土地だからと、口説いている。レビュウの姐さんは、長崎も五島も、てんで日本地図は御存知ない様子で、そんなことなんでも

長崎から船でちょッとで、目下景色のよろしい土地だからと、口説いている。

年前、切支丹のことを調べに五島へ旅行した。長崎から船で相当ありますよ。第一、私の歩いたところは、旅館

戦争中の浅草は、ともかく、私の輸血路であった。つまり、酒がのめたの

同人会は染太郎でやるのが例で、ともかく、戦禍で浅草が焼ける半年前ぐらいまでは、なんとか酔えた。そのうちに三軒

でかけることはあったが、もっぱら飲む一方で、そのほかの浅草を殆ど知らないのである。

で、この一座が上京すると、私は酒のほかに浅草の芸人と交渉がはじまるようになったが、然し、芝居を見たと

浅草の女優さん方は、まだ、芸が未熟である。女優部屋ではずいぶん

だから私は浅草のレビューガールや女優さん方の舞台などは見る気がなくて、もっぱら地

て仕方がない。役者の世界ぐらい封建的なところはない。浅草にして、そうなのである。

私は浅草へでかけると、もっぱら淀橋太郎をひっぱりだして、一しょに飲む。むかしは軽演劇

浅草の飲み屋にいると、興行師とか、一座を組織してドサ廻りにでようと

がなかったのである。まことにツキアイがよい。こゝが浅草の身上である。その代り、酔っ払って、口説いて、ウンと云ってくれた

、先ず、飲みましょう、とオシャクをして貰う。これが浅草のよいところで、一パイ飲みましょう、とたのんで、イヤだなどゝ云う

浅草の男の子も、立派なもので、私がもっぱら女優部屋専門にお酒を

浅草もちかごろは変ったそうだ。お客が変った。

変りという奴をイヤというほどハッキリ見せつけられるのが、浅草のお客だそうである。

森川信だの清水金一などゝいう浅草育ちの一座を、殆ど知らない。そういう一座の名前によって、客

たということは、浅草の一大進歩と申すべきだろう。浅草はペラゴロの昔から、人情的でありすぎ、一座とお客とナレアイであり

によってしか客が来なくなったということは、浅草の一大進歩と申すべきだろう。浅草はペラゴロの昔から、人情的であり

浅草のウケル型というものがきまっていて、これは浅草でウケル型、これは新宿でウケル型、そういう型があり、その型

はどこの芸人でも、そういうものであろうけれども、浅草のウケル型というものがきまっていて、これは浅草でウケル型、

浅草の芸人諸君は、何かというと、これはウケルね、という。

。こういう型が通用しなくなったということは、浅草の一進歩で、これからが、むしろヤリ甲斐のある仕事というもので

きまった型の中でやっていたのでは、浅草の芸人であるだけで、それ以外のものではない。こういう型が

、昔の浅草にとらわれていては、だめである。浅草の人たちが、このことに気付いて、新風に思いを凝らしはじめたこと

恋々と昔の型や、昔の浅草にとらわれていては、だめである。浅草の人たちが、このこと

ものはないだろう。ドサ廻りの悲しさが、いつもつきまとっている浅草人の表情は、酒の心にしみるものがあるのである。

だが、浅草というところは、これぐらい気軽に酒の飲めるところはない。女優さんのみ

浅草には絵描きはいないが、浅草は東京のモンパルナスとかモンマルトルというところで、浪流と希望の魂の

浅草には絵描きはいないが、浅草は東京のモンパルナスとかモンマルトルというところ

のあるところ、必ずつきまとうもの、これが失われては、浅草はない。

これからの浅草は、よい脚本と、よい芸でなければならぬ。特に女優や踊りに

そして私は浅草の演出家に言うのである。そんな君、そこで声を大きく、とか

私は戦争中から、浅草で酔っ払うと、こう言いつづけてきたのである。

、酒席にいる時は、そうだ。だから私が、浅草でお酒を飲むのが好きだという次第でもある。

女としては、浅草の女優さん踊子さんは、ダンサアや女給方よりも、数等色ッポイので

の街で、浅草も亦、落伍者の街であるが、浅草には落伍者の誇りがない。それだけモンパルナスやモンマルトルよりも低いのである

モンパルナスやモンマルトルは、ある意味では、落伍者の街で、浅草も亦、落伍者の街であるが、浅草には落伍者の誇りがない。

つまり、浅草は、たゞドサ廻りの悲哀のような、落伍者的情緒にすがっているだけで

背後に一流の矜持が隠されているようになれば、浅草はおのずから復興する。淀橋太郎とか有吉光也とかみんな素質ある脚本家であり

彼らに一流の矜持があれば、浅草は又、面白いところで、彼らのドサ廻りの恋愛談などケタ外れの歴史を

「染太郎」というオコノミ焼が根城であったが、今銀座へ越している「さんとも」というフグ料理、これは大井広介のオトクイ

昭和十九年の新春から、森川信一座が東京旗上げ興行で大阪から上京し、国際劇場へでた。私は彼がドサ廻り

浅草には絵描きはいないが、浅草は東京のモンパルナスとかモンマルトルというところで、浪流と希望の魂のはかない小天地

がきまっていて、これは浅草でウケル型、これは新宿でウケル型、そういう型があり、その型と狎れ合って、型通りの