上野 東京 銀座 小岩

や。ね、君あ明日発てばいい。ね、君が上野に着く時にはチヤンと迎ひに出てるよ」

東北本線の（Ｄ）駅迄は軽便、（Ｄ）駅から上野行きの列車に乗る。

「一人娘を東京くんだりまで嫁〔縁カ〕づかせるのに仕度金も持たせねえぢや、

この切符で乗つて、黙つて坐つてればひとりでに東京に着く。乗合馬車に乗つて、次に軽便鉄道に乗つてさ

そ、そんな、大丈夫だよ。寂しいだらうが、その代り東京に着いたらウーンと可愛がつてやるぜ。食べたいものでも見たい物

「東京にはなんでもあんのけ？」

スミ「おらも東京さ着いたら、一六さに良い物買つて貰つて送つてやつから

があるので、それに出席するためだと話す。「東京から偉い博士が来て、Ｃ町の婦人会の奥さん達が総出で、いろんな

スミ「あのう、東京へ……」

「東京？　へえ。それは遠くへ、まあ。そいで東京へは、なんしにね？」

「東京？　へえ。それは遠くへ、まあ。そいで東京へは、なんし

東京迄逃げて行くのだが、金を持つてゐないユリ。悲しいユリの

ても許してくれないので、心ならずも逃げ出して東京へ向つてゐる）

けれども自分は曲馬団に雇はれてゐる身故、東京へ行かしてくれと頼んでみたけれど、どうしても許してくれない

（たつた一人の兄が東京で急病になり、危篤の通知を受けたけれども自分は曲馬団に雇

スミ「そいで、どんな風にして東京まで行くだ？」

ねえ奴だ。ハハ、こう見えても、私あ、元東京で手広く請負稼業をやつてゐた事がある。その頃の話だ。

ていいさ。――（急に真面目に）あの男あ東京に居る頃、千円あまりも俺に借りがあつたんだ。金ばかり

綺麗な人を見るのは、私あ初めてだ。――東京に何をしに行くね？」

嫌ならば、二三里離れてはゐるが△△町の銀座会館と言ふ一流のカフエーのコツクに懇意な男がゐるから、いつそ、

土方が、それを、大岩と小岩の間にグワツと突込んだのが瞬間である。いきなり中腰になり、金