稲葉 関東 奥州 江戸 下野 京都 上野 品川

、難題を加えてやりました。吉良の知行、下野の稲葉の里に、親抱きの松というのがございまして、常から吉良が

、この饗応役だった。毎年きまったことなのに、関東では一年ごとに、諸大名が代って勤めることになっていた。

「関東の武家、名は何といわるる？」

「関東は武をもって治むる国である。頼母しい御体格ですな。定めしお

添役立花出雲守は、奥州下手渡三万石で、それが百両もはずんだのだから、本役で五万三千石

年に一回京都の宮廷から、公卿が江戸に下って、将軍家に政治上の勅旨を伝える例になっていた。その天

勅旨を伝える例になっていた。その天奏衆の江戸滞在中、色いろ取持ちするのが、この饗応役だった。毎年きまったことな

辰馬は、江戸ふうの青年だけに、めっきり浪人めいて来ていた。

慶賀のため御下向なさる。たとえ精進日であっても、江戸お着の当日は必ず御精進はいたされません。魚類は結構、と申す

いうことがありましょうや。たとえ精進日であっても、江戸お着の当日は、けっして精進はいたされません。魚類で結構、どころか

それに、負けず劣らずだった、江戸の御影堂は、坊主ではなかったが、口の荒い職人膚だった。

一つ、難題を加えてやりました。吉良の知行、下野の稲葉の里に、親抱きの松というのがございまして、常から

年に一回京都の宮廷から、公卿が江戸に下って、将軍家に政治上の勅旨を伝える例

堂として知られた、扇をつくる家だった。京都五条の橋の西の御影堂が本家で、敦盛の後室が落飾して

京都の御影堂本家の主人は、店に、本尊法然の像をまつって、

「御再考ありたい。上野がすべて心得おるから、あれに尋ねたなら勤まらぬことはあるまいと思わ

ちょっと逡巡ったのち、上野は、人さし指を一本立てて見せた。百両の意味だった。

「よい。嘲弄する気であろう、この上野を。」

ものの、先例もあり、いくらお手前でも、万事は上野が引き受けます。お指図をいたしますから、何なりとお訊き下すって、

「知っておれば訊きませぬ。知らぬから訊く。品川までかな？」

「品川にはおよびません。芝御霊屋の前あたりまで出られたら、よろしかろう。

しからば、」美濃守は、顔いっぱいに笑って、「品川までお出迎えいたしましょう。どうも自分は、吉良殿の逆を往くことが

ほんとうは、もちろん品川まで迎えに出なければならないのだった。