投手殺人事件 / 坂口安吾
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それは、大鹿と葉子だけしか知っていない。そこは嵐山の片隅のアトリエだ。母屋から、かなり離れて独立している。主人の画家
「だいたい見当がついてるんだ。大鹿が、嵐山の終点で下車するという噂があるんだ」
探しにだしています。岩矢天狗と上野光子をのせて嵐山を往復した自動車、二台」
でもいい。ただし、昨日の夕方の五時ごろから、嵐山まで人を運んだ自動車。そして、男を運んだ自動車だけでいい。又、
四十七分には京都について、だいたい十一時半前後には嵐山まで来るからだ。君らにネバられては、チャンスを失ってしまうのだ。
に乗りかえて、一時間四十分の差を利用して、嵐山の大鹿の隠れ家まで往復してきた。そして、それをゴマカス方法として
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と云って二三度怒鳴りこんだことがあった。天狗は横浜の興行師で、バクチ打、うるさい奴だ。葉子の衣裳まで質に入れてバクチ
急ぐ理由を知っていました。明日の三時までに横浜に戻るには、零時三十二分発の東京行以外にありません。それ
と思うと、慌てるね。三百万円はフイになるし、横浜へも帰られない。ママヨと、パンパン宿へ行ったのさ」
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円だせ、と仰有るのです。大鹿さんは、昨日、関西へ戻りました。三百万円で身売りする球団を探しに。葉子さんは反対なさっ
は、とうとうイヤなことになったと思った。光子が関西の球団を当る限りは、大鹿の身売りは成功の見込みがない。しかし、東京
「あなたの関西旅行の用向きはもう終ったのですか」
ゆっくり休憩のツモリでな。この十日間に、三度も関西を往復したのですから」
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「そうですなア、四条から三条、それから祇園の方までブラブラと、あれこれ見て廻って、又、
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煙山は大阪で降りた。自動車を拾う。二人も自動車を拾って追跡。新淀川を渡って
「すると、大阪へ降りて、桃山、国府両選手を訪ねて、あとはマッスグ京都へ、ね
にはメッタに泊りません。それに、京都よりも、大阪、神戸、南海沿線などの方に用向きが多いのですよ」
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「そうですなア、四条から三条、それから祇園の方までブラブラと、あれこれ見て廻って、又、新京極へ
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「そうですなア、四条から三条、それから祇園の方までブラブラと、あれこれ見て廻って、又、新京極へ戻って、ちょッと
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言い含めて、裏門から帰させ、煙山も裏門から脱けだして、京都へ走ったのである。
煙山は、さッそくその日の夜行で京都へ走った。京都には、大鹿と葉子が愛の巣を営むための秘密の隠れ家がある
そこで煙山は、さッそくその日の夜行で京都へ走った。京都には、大鹿と葉子が愛の巣を営むための
「岩矢天狗が京都にくることになっています。葉子さんも、十九日の夜、こッ
「君も明日、京都へ行くそうじゃないか」
「午後一時、東京発。京都へは夜の十一時ちかくに着くはずなんです。岩矢と約束がある
話をもちこんでるんだ。上野光子は今夜の夜行で、京都へ行く筈だが、この引ッこぬきは金額の上で折合わなかった
思う? 岩矢天狗氏よ。あす二十日でしょう。彼氏、京都へ、暁葉子の手切金、うけとりに来る筈よ。三百万、払える?」
のよ。今日も、街で出会ったの。一服クン、京都に住んでるでしょう。でね、すぐ結婚しよう、泊りに行こうなんて云うから、
無事、京都へとさしかかる。京都着は午後六時四十一分の予定。
無事、京都へとさしかかる。京都着は午後六時四十一分の予定。
しかし木介は京都へ着かないうちに、うかない顔で戻ってきた。
京都へつく。
ない。念のため、もう一度、車内をテンケンすると、京都で乗客の大入換りがあって、かなり空席も目に立つ中に、
てきた。又、追跡、車は国道をブッ飛ばしてグングン京都の方角へ戻る。細い道へまがりこんで、辿りついたのが、山崎の
自動車は一散に京都へ。
車は京都の市街へはいった。車の止ったところは、河原町四条を下って、
午後十時四十七分着急行で、暁葉子と岩矢天狗が京都へ着くはずだから、その時間に京都駅へ行ってみろ、と、指令し
の名刺があり、東京の住所は印刷してあるが、京都のアパートの所番地が鉛筆で書きこんである。光子自身の手らしく、女手で
捜査の主任は京都にその人ありと知られた名探偵、居古井警部である。
「あなたは、ワザワザ京都にアパートをお借りなんですか」
「すると、あなた方は東京からズッと京都まで煙山氏を尾行してきたのですね」
降りて、桃山、国府両選手を訪ねて、あとはマッスグ京都へ、ね。全然大鹿に会う時間はないワケですね。九時半ごろまで
は、煙山の出発時刻から、ズバリそのもの。東京のフリダシから京都の上りまで、チャント双六ができてますわ。やっぱり、正月のせいかな
まで、急行を迎えに出たというんですね。米原京都間は急行はノンストップです。それで、上野光子とのイキサツなども車中で
と、そうと知ってたわけではないが、とてもジッと京都に待ってられない不安におそわれ、フラフラと米原まで、急行を迎えに
時の特急と思うでしょう。一時間半おそく出発して、京都へつくのが一時間四十分ぐらい早いのですから。しかし、特急は知っ
なことで、大鹿との契約が早くすんだので、京都へ泊らなくとも良かったのですが、旅館の予約をとっておきました
「京都では、いつも、あの宿ですか」
、きまった宿にはメッタに泊りません。それに、京都よりも、大阪、神戸、南海沿線などの方に用向きが多いのですよ
それに乗って戻ってくるには、一つしかない。京都発午後二時二十五分。米原着四時三十分か」
博多行急行の米原着は、午後五時五分か。京都から午後にでかけて米原でそれに乗って戻ってくるには、一つ
「ゆうべの京都のタクシーはだいぶ嵐山を往復したのがいるわけだ。ひとつ、探し
「ふてえぞ。京都の警察は」
だ。ところがだね。米原を出発すると、あとは京都までノンストップなんだよ。私はこれに気がついた時、思わず
。なぜなら、葉子と岩矢天狗が十時四十七分には京都について、だいたい十一時半前後には嵐山まで来るからだ。君らに
一時間四十分に仕事をする必要があったのさ。京都へつくと、彼は車をいそがせて、大鹿のアトリエにかけつけ、三百万
があった。ツバメは一時間半もおそく出発するが、京都に着くまでには追いぬいて、約一時間四十分も逆にひらいてしまう
あとから来た特急ツバメに乗りかえたのだろう。なぜなら、京都へ君たちよりも一足早く到着する必要があった。ツバメは一時間半
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メッタに泊りません。それに、京都よりも、大阪、神戸、南海沿線などの方に用向きが多いのですよ」
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「乗りました。しばらくはネ。恐らく熱海か静岡あたりで下車して、あとから来た特急ツバメに乗りかえたのだろう。なぜ
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を利用して、ワタリをつけるというわけです。昨夜、上野光子に会って、希望をつたえたのです」
指定していやしませんが、元夕刊スポーツの婦人記者の上野光子が、関西方面で、フリーの女スカウトの看板をあげてるんです。
上野光子といえば、球界では名題の女であった。女学生時代はバレー
いえ、この家は葉子さん以外は誰も知りません。上野光子とは外でレンラクしているのです」
煙山が京都駅から急行にのると、車中で上野光子にぶつかった。スラリと延びたからだを毛皮で包んで、どこの貴婦人
社へ戻ると、大鹿の意向を社長につたえ、又、上野光子が上京して、大鹿売りこみのカクサクをしていることも言い添えた。
は、絶対とれないという大鹿をとりたいのですよ。上野光子に負けたくありませんな」
から返事はこず、せっぱつまった気持のところへ、昨日、上野光子とレンラクがついたものですから、専売新聞か桜映画へたのんでくれ
「それは、まずいな。上野光子の返事は?」
あろうとも、キッパリ拒絶してくれないか。さもなければ、上野をスッポカして会わないようにしてもらいたい」
夕方つく。私の方はハッキリしているのだから、上野光子がどうあろうとも、キッパリ拒絶してくれないか。さもなければ、上野
朝ついて、夜行で発って、十九日朝ついて、上野光子をだしぬくことはできるが、そうまでする必要はあるまい。私の方
東京へ戻った。敷島社長に以上の話をすると、上野光子の話がそこまで出来かかっている以上、ひくわけにはいかない。
明朝たちます。夜汽車に金を運ぶのは危険ですし、上野光子にぶつかっても、まずいでしょう。朝の急行の一番早いの、七時
上野光子が引ッこぬきの話をもちこんでるんだ。上野光子は今夜の夜行で、京都へ行く筈だが、この引ッこぬき
「実はな。大鹿のことでは、上野光子が引ッこぬきの話をもちこんでるんだ。上野光子は今夜の
料亭の別室で、向い合って話しているのは、大鹿と上野光子である。
縋らざるを得ないようにしてみせる。天下の女スカウト上野光子は誰にも負けない女なのだ。
「ちょうど、五時半ごろでしたかネ。上野光子女史が現れて、大鹿と懇談したけれど、本社が金を出し渋るから
。しかし、タバコを吸った女というのは誰だろう。上野光子だろうか。
たので、大きな不安はもちませんでした。そして、上野さんの命のまま、駅にちかい喫茶店へはいりました」
見えないので、アッと、後を追おうとすると、上野さんが私の腕をつかんで引き留めました。行かせてくれないのです
た人がありました。見知らぬ女の方ですが、上野光子というプロ野球のスカウトですと自己紹介なさったのです。私たちが立話
ていなかったのです。私はそれを主張して、上野さんと争論になりましたが、果しがないので、立上りました。
「上野さんは、私に、大鹿さんとの結婚をやめなさい、と仰有るの
一、大鹿のズボンのポケットに、上野光子の名刺があり、東京の住所は印刷してあるが、京都のアパート
へ連行した。また、名刺に書かれたアパートから、上野光子が連行されて来た。
一時も早く解決したい問題があったんです。ボクは上野光子にプロポーズしたんですが、お光は大鹿と結婚したいと云う
「しかし、九時半に上野光子が大鹿を訪ねていますが、そのときは契約を交したあとらしく
「なるほど。上野光子さんも、そう申しておられましたよ」
ですね。米原京都間は急行はノンストップです。それで、上野光子とのイキサツなども車中で話してくれましたが、イヤ、心配する
「君は大鹿君のところから帰るとき、上野光子さんの自動車とすれ違ったそうだネ」
自動車は、もう、探しにだしています。岩矢天狗と上野光子をのせて嵐山を往復した自動車、二台」
、煙山と、一服の男三名、及び、暁葉子、上野光子、計五名の関係者を、署の柔道場に見張りをつけて休息
「第二ヒントは、上野光子が与えてくれたね」
事件の全貌をとくことができた。第二ヒントは、上野光子が与えてくれたのだが、光子がアパートをアジトにしている
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煙山は直ちに東京へとって返す。三百万といえば、話にのる球団があろうとは思わ
限りは、大鹿の身売りは成功の見込みがない。しかし、東京へ行くとすれば、第一に、専売新聞、次に商売敵の桜映画
そこで煙山は、安心して、東京へ戻った。敷島社長に以上の話をすると、上野光子の話が
「午後一時、東京発。京都へは夜の十一時ちかくに着くはずなんです。岩矢と
「いいえ。私と一しょに、東京から来たのです。私の良人の岩矢天狗です」
時までに横浜に戻るには、零時三十二分発の東京行以外にありません。それが最終列車です。私たちが京都駅へ着いた
、大鹿のズボンのポケットに、上野光子の名刺があり、東京の住所は印刷してあるが、京都のアパートの所番地が鉛筆で書きこんで
「ソモソモ我等こと二名の弥次喜多はだな。東京のビンワンなる記者であるぞ。コチトラは朝の七時半から夜の九時半
「すると、あなた方は東京からズッと京都まで煙山氏を尾行してきたのですね」
が、今度ばかりは、煙山の出発時刻から、ズバリそのもの。東京のフリダシから京都の上りまで、チャント双六ができてますわ。やっぱり、正月
「さすがに細心なものですな。ところで、あなたは、東京から尾行した者があることを御存知でしたか」
「なるほど、それで分りました。ところで、あなたの東京発の時間を、誰か知っていたでしょうか」
「東京の新聞記者が、うるさくて困るんですがな。オレたちを、監禁する
血だらけの衣類を、例のカラッポのカバンにつめて、東京へ持ち帰って処分するツモリだったのだろうよ」
の新聞記者がこないうちに、すぐ支局へ走って、東京の本社へ電話したまえ。そして、例の尾行記を大至急、書きあげること
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あるが、その私生活は、はなはだ世評の香しくない男だ。銀座にキャバレーを経営しているが、ここまで云えば、あとはアッタリマエでしょう、