瞼の母 / 長谷川伸
地名一覧
地名をクリックすると地図が表示されます
以後昏くなる。唄の声(どこからか聞こえる)ぬしを松戸で、目を柴又き、小岩慕えど、真間ならぬ。
地名をクリックすると地図が表示されます
(失望を深く覚って)いいえ。わたくしは江戸ばかり、川崎から先は一向に。
地名をクリックすると地図が表示されます
半次郎 江戸にいるという噂だけで、居所が知れねえのだ、それに肝腎の名前
半次郎 え。じゃあお前はまだ、江戸へ踏み出してはいなかったのか。
忠太郎 俺か――どこへ行くものか、江戸へさ。
半次郎 江戸といってお前、おッかさんの居どころが判ったのか。
心配してくれるな。初めて逢う母親が、いると思えば江戸へ行く俺の心は勇んでるぜ。なあに、途中で飯岡方に出くわしても
江戸の、とある町にある杜に近き夏の夜。
番場の忠太郎。江戸に出て草鞋を脱ぎ、着流しで、少し離れて見ている。
老婆 (失望を深く覚って)いいえ。わたくしは江戸ばかり、川崎から先は一向に。
江戸の、とある街。
忠太郎 俺あ十三から江戸で育ったが、生れは草深い処なんだ。ここの家のおかみさんは
とうとうあたしは縁が切れた――その後つづいて永い間、江戸の空の下から江州は、あっちの方かと朝に晩に、見えも
どこの人だ。下総から来たのか。それ共、江戸か。(両人とも答えぬ)ご返事はこざんせんか――無いな
地名をクリックすると地図が表示されます
『瞼の母』大詰 荒川堤
『瞼の母』大詰 荒川堤
地名をクリックすると地図が表示されます
孫助 藤さん、あの婆は東両国で、いつも売れ残りの夜鷹の婆だよ。
ッき来た婆と、口をきいていたっていうから、どうで東両国の菰ッ張りの外で、さあさあざっとご覧よご覧よと囀ってる、夜鷹の立番で
地名をクリックすると地図が表示されます
、あすの夜明けに出る船で、川を上って途中から水戸街道へ入るがいい、万事心得たと云ってくれたが、半次郎、今夜
地名をクリックすると地図が表示されます
どこからか聞こえる)ぬしを松戸で、目を柴又き、小岩慕えど、真間ならぬ。