突貫紀行 / 幸田露伴

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地名一覧

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宮城野の萩の餅さえくえぬ身の

北海道

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すなわち松前と往時は云いし城下に暫時碇泊しけるに、北海道には珍らしくもさすがは旧城下だけありて白壁づくりの家など眸に入る。

て渋民に入りぬ。盛岡まで二十銭という車夫あり、北海道の馬より三倍安し。ついにのりて盛岡につきぬ。久しぶりにて女子らしき女子

奥州

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を見る、また北上川の源に沼宮内より逢う、共に奥州にての名勝なり。

小樽

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小樽に名高きキトに宿りて、夜涼に乗じ市街を散歩するに、七夕

青森

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し経験を得んには陸行にしくなし。ついに決断して青森行きの船出づるに投じ、突然此地を後になしぬ。別を訣

十一日午前七時青森に着き、田中某を訪う。この行風雅のためにもあらざれば吟

に似たれど、警察署は耶蘇天主堂に似たり。ともかくも青森よりは遥によろしく、戸数も多かるべし。肴町十三日町賑い盛なり、

仙台

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んが興はあるべし。嚢中不足は同じ事なれど、仙台にはその人無くば已まむ在らば我が金を得べき理ある筋あり

はらのへるのを何と仙台

因循日を費さんよりは苦しくとも出発せんと馬車にて仙台を立ち、日なお暮れざるに福島に着きぬ。途中白石の町は往時

福岡

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雨気ありたれども思いきりて出づ。三の戸、金田一、福岡と来りしが、昨日は昼餉たべはぐりてくるしみければ今日はむすび二

に、彼笑って、ああおのし、まようて損したり、福岡の橋を渡らねばならずと云う。余ここにおいていよいよ落胆せり

松山

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これより行く手に名高き浪打峠にかかる。末の松山を此地という説もあり。いずれに行くとも三十里余りを経ずば

盛岡

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いう車夫あり、北海道の馬より三倍安し。ついにのりて盛岡につきぬ。久しぶりにて女子らしき女子をみる。一体土地の風俗温和にていや

ほど手前にて水飲み飯したため、涙ぐみて渋民に入りぬ。盛岡まで二十銭という車夫あり、北海道の馬より三倍安し。ついにのりて

福島

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無し。片倉小十郎は面白き制を布きしものかな。福島にて問い質すに、郡山より東京までは鉄路既に通じて汽車の往復ある由なり

出発せんと馬車にて仙台を立ち、日なお暮れざるに福島に着きぬ。途中白石の町は往時民家の二階立てを禁じありし

二十八日、少許の金と福島までの馬車券とを得ければ、因循日を費さんよりは苦しくとも

東京

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、著しく家列びもよく道路も美しくなり、大町末広町なんどおさおさ東京にも劣るべからず。公園のみは寒気強きところなれば樹木の勢いもよから

を漁する態を観る。海浜に浜小屋というもの、東京の長家めきて一列に建てられたるを初めて見たり。

十日、東京に帰らんと欲すること急なり。されど船にて直航せんには嚢中足らず

をみる。一体土地の風俗温和にていやしからず。中学は東京の大学に似たれど、警察署は耶蘇天主堂に似たり。ともかくも青森より

苦しくとも夜を罩めて郡山まで歩み、明日の朝一番にて東京に到らん方極めて妙なり、身には邪熱あり足はなお痛めど

制を布きしものかな。福島にて問い質すに、郡山より東京までは鉄路既に通じて汽車の往復ある由なり。その乗券の価を

二十九日、汽車の中に困悶して僅かに睡り、午後東京に辛くも着きぬ。久しく見ざれば停車場より我が家までの間の景色さえ

末広町

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しうちに、著しく家列びもよく道路も美しくなり、大町末広町なんどおさおさ東京にも劣るべからず。公園のみは寒気強きところなれば樹木の

月島

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たるごとき者、臥したる牛の首あげたるごとき者あり、月島星島桂島、踞せるがごときが布袋島なら立てるごときは毘沙門島にや、