雁坂越 / 幸田露伴
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にどうやらこうやら「勘」を付けて上って、とうとう雁坂峠の絶頂へ出て、そして遥に遠く武蔵一国が我が脚下に開けている
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ある。しかしこの釜和原から川上へ上って行くと下釜口、釜川、上釜口というところがあるが、それで行止りになってしまうのだから、
が好いからって二合ばかりずつのお酒をその度々に釜川から一里もあるこの釜和原まで買いに遣すような酷い叔母様に使わ
取り出す、足ごしらえも厳重にする、すっかり仕度をしてしまって釜川を背後に、ずんずんずんずんと川上に上った。やがて小一里も来たところで
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(例)甲州
ここは甲州の笛吹川の上流、東山梨の釜和原という村で、戸数もいくらも無い
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へ南へと走って、ここらの村々の人が甲府甲府と思っているのも無理は無いのである。
南へ南へと走って、ここらの村々の人が甲府甲府と思っているのも無理は無いのである。
、ついに甲州街道へ出て、それから甲斐一国の都会の甲府に行きつくのだ。笛吹川の水が南へ南へと走って、ここ
のが真実に厭だよ。おまえの母さんはおいらが甲府へ逃げてしまって奉公しようというのを止めてくれたけれども、真実
「またおまえは甲府へ行ってしまおうと思っているね。」
「なあに、無暗に駈け出して甲府へ行ったっていけないということは、お前の母様の談でよく解っ
「どこへでも出て辛棒をするって、それじゃあやっぱり甲府へ出ようって云うんじゃあないか。」
、後で母様のお話にあ、いくら下りだって甲府までは十里近くもある路を、夜にかかって食物の準備も無い
に逃げ出して来て、わたしの家へも知らさないで、甲府へ出てしまって奉公しようと思うとって、夜にもなっているの
なんぞしてもそうはいきません。おまえの居る方から甲府の方へは笛吹川の両岸のほかには路は無い、その路に
な人にそう云っておおきになってあるから、いくらお前が甲府の方へ出ようと思ったりなんぞしてもそうはいきません。おまえの
に強くならないでもよさそうなものを。そんなおまえじゃあ甲府の方へは出すまいとわたし達がしていても、雁坂を越えて
が云った語は偶然であったのだが、源三は甲府へ逃げ出そうとして意を遂げなかった後、恐ろしい雁坂を越えて東京の
路を見張っているにしても、その眼を潜って甲府へ出ることはそれほど難しいことでは無いが、元は優しいので弱虫
ために、源三は自分の唯一の良案と信じている「甲府へ出て奉公住みする」という事をあえてしにくいので、自分が
どういうものか源三を窘めること非常なので、源三はついに甲府へ逃げて奉公しようと、山奥の児童にも似合わない賢いことを考え出して
東京は甲府よりは無論佳いところである。雁坂を越して峠向うの水に随いて
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出すまいとわたし達がしていても、雁坂を越えて東京へも行きかねはしない、吃驚するほどの意地っ張りにおなりだから
として意を遂げなかった後、恐ろしい雁坂を越えて東京の方へ出ようと試みたことが、既に一度で無く二度までもあっ
で、小耳に挟んだ人の談話からついに雁坂を越えて東京へ出ようという心が着いた。
流れている墨田川という川になる川だから自然と東京へ行ってしまうということを聞きかじっていたので、何でも彼
向うの水に随いてどこまでも下れば、その川は東京の中を流れている墨田川という川になる川だから自然と東京
東京は甲府よりは無論佳いところである。雁坂を越して峠向うの水に