鼠頭魚釣り / 幸田露伴
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顔して坐りなどする者をば将監様とよぶ。これは江戸の頃の水の上の司向井将監にかけて云へるにて、将監のやう
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て櫓を推し初むれば、船は忽ち神田川より大川に出で、両国の橋間を過ぎ、見る目も濶き波の上に一羽の鴎と心長閑に浮びて下る。新大
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青鼠頭魚といふものと異るにやあらん、いぶかし。凡そ東京近くにて青鼠頭魚といふものは、春の末夏の初頃より数十
こと無きを如何にせん。大槻氏の指すところのものは東京近くにて青鼠頭魚といふものと異るにやあらん、いぶかし。凡そ東京近く
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\其日となりたる二十日の朝、聊か事ありて浅草まで行きたる帰るさ、不図心づきて明日の遊びの用の釣の具一揃へ
て川添ひを行くに、水の面は霧立ち罩めて今戸浅草は夢のやうに淡く、川幅も常よりは濶※と見ゆる中を
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枕橋吾妻橋も過ぎて、蔵前通りを南へ、須賀橋といふにさしかゝりける折しも、橋のほとり
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波の上に一羽の鴎と心長閑に浮びて下る。新大橋を過ぐる折から雨またばら/\と降り来。されど舟子の少しも
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、早緒取り掛けて櫓を推し初むれば、船は忽ち神田川より大川に出で、両国の橋間を過ぎ、見る目も濶き波
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好くなりぬ、帆を揚げんとて、舟子帆をあぐ。永代橋を過ぎて後は四方のさま全く変りて、眼を障るものも無き海原
ぬことあらじ。こゝろよき南風に帆を張りて、忽ち永代橋、忽ち大橋、忽ち両国橋を過ぎ、柳橋より車に乗りて家に帰り
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南風に帆を張りて、忽ち永代橋、忽ち大橋、忽ち両国橋を過ぎ、柳橋より車に乗りて家に帰りつ、其得たるところを