高麗 大江戸 紀伊国 江戸 奈良 深川 銀座 上野 隅田川

「そもそもお客の始まりは、高麗唐土はぞんぜねど、今日本にかくれなき、紀伊国文左に止どめたり。さて

は聞こえていた。間もなくそれさえ聞こえなくなって大江戸の夜は明け近くなった。

は、高麗唐土はぞんぜねど、今日本にかくれなき、紀伊国文左に止どめたり。さてその次の大尽は、奈良茂の君に止どめたり

三日見ぬ間の桜も散り、江戸は青葉の世界となった。

て、嘆息しない者はなかったが、名物といえば江戸名物の紅白縮緬組もそれ以来パッタリ市中へ出ないようになって、次第

、紀伊国文左に止どめたり。さてその次の大尽は、奈良茂の君に止どめたり。新町にかくれなき、加賀屋の名とりの浦里の

奈良茂は今日も揚屋の座敷で、いつもの取り巻にとり巻かれながら、うまく

奈良茂の機嫌が悪いので、半兵衛や民部は心を傷め、いろいろ道化た

奈良茂の癇癪は吉兵衛を見ると一時にカッと燃え上がった。

「誰か吉兵衛を引っ捉えろ！」奈良茂は自分で立ち上がった。

今日は一度も浦里は座敷へ顔さえ出さなかった。奈良茂の機嫌は益※傾き民部や半兵衛の追従口もどうすることも出来

、噂がパッと拡がった。しかし間もなくその浦里も奈良茂のために根引きされて、吉原から姿を隠したので、廓

兄の死と一緒に封じ込み、ただ貞節の妻として奈良茂に仕えたということであった。

名とりの浦里の君さまを、初めてこれを身請けする。深川にかくれなき黒江町に殿を建て、目算御殿となぞらえて、附き添う幇間は

取り分け持てるのはすなわち銀座の客衆で、全くこの時代の銀座と来ては三宝四宝の吹き出し最中で、十九、二十の若い手代さえ

遊里で取り分け持てるのはすなわち銀座の客衆で、全くこの時代の銀座と来ては三宝四宝の吹き出し

しかし豪奢なその銀座衆さえ、紀伊国屋文左衛門には及ばなかった。奈良屋茂左衛門にも勝てなかった。

「痴人というのはそち達がことじゃ。先夜上野の山下で初めて汝らに巡り合い滾々不心得を訓したにも拘わらず、

ちょうどこの夜の丑満時のこと、隅田川に沿った駒形の土手を、静かに歩いて行く三人連れがある。