柳営秘録かつえ蔵 / 国枝史郎
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江戸城の奥庭林の中に、一宇の蔵が立っていた。黒塗りの壁に
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夜は更けていた。馬道二丁目の辻から出て、吾妻橋の方へ行く者があった。子供かと思えば大人に見え、大人か
と一人の侍が、吾妻橋の方からやって来た。深編笠を冠っていた。憂いありそうに
吾妻橋の方へ逃げかけた時、天運尽きたか鬼小僧は、石に躓いて
夜をかけて急ぐ旅人でもあろう吾妻橋の方から人が来た。
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は鬼小僧……どこへ行ったとも解らなかった。江戸の人達は落胆した。観音様への帰り路、美しいお杉の纖手から
美貌は江戸で第一番、気品は旗本のお嬢様、それで心は茶屋女、これが
江戸へ「夫婦斬り」の始まったのは、実にその夜が最初であった
が出て、斬って捨るということであった。江戸の人心は恟々とした。夜間の通行が途絶え勝ちになった。
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の得る所ぞ、白雲幽石を抱く……俺の住居は雲州の庭だ」
謎のような事を云やアがった。俺の住居は雲州の庭だ。からきしこれじゃア見当がつかねえ。雲州の庭? 雲州の庭
住居は雲州の庭だ。からきしこれじゃア見当がつかねえ。雲州の庭? 雲州の庭? どうも見当がつかねえなあ。……」
だ。からきしこれじゃア見当がつかねえ。雲州の庭? 雲州の庭? どうも見当がつかねえなあ。……」
「雲州の庭、よく解ったな」
お家、その奥庭の結構は名高いものでございます。……雲州の庭というからには、そのお庭に相違ないと、こう目星を付け
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ベッタリその辺りに並んでいた。尾張殿、肥後殿、仙台殿、一ッ橋殿、脇坂殿、大頭ばかりが並んでいた。その裏門が
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「へえ、随分考えました。……雲州様なら松江侯、すなわち松平出雲守様、出雲守様ときたひには、不昧
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あった。三之丞は青年二十二歳、北辰一刀流の開祖たる、千葉周作の弟子であった。毎日のように三之丞は、主計方へ遊びに
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たものだ。印可となってお側を去り、これから長崎へ行くところだ。そこでもっと修行するのよ。ところで久しぶりで市へ
その頃肥前長崎に、平賀浅草という蘭学者があった。傴僂で片眼で醜かったが、
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天保元年正月五日、場所は浅草、日は午後、人の出盛る時刻であった。大道手品師の鬼小僧
「浅草名物鬼小僧の手品、さあさあ遠慮なく見て行ってくれ。口を開い
同じ浅草の人気者同士、鬼小僧とお杉とは仲宜しであった。
、今度はそれが大変なのでね、妾ひょっとすると浅草へは、もう出ないかもしれないよ」
浅草から品川まで、彼は一息に走って行った。浜御殿を筆頭に、
その翌日から浅草は、二つの名物を失った。一つはお杉、一つは
がなして、昔の首尾に復ろうとした。微行で浅草へ行った時、計らず赤前垂のお杉を見た。
浅草の夜は更けていた。馬道二丁目の辻から出て、吾妻橋の方
知ってるのか? 俺にとっちゃアお友達、同じ浅草にいたものだ」
…お杉様と云ったなア誰の事だろう? まさか浅草の赤前垂、お杉ッ子じゃアあるめえが。……まあそんなこたアどう
その頃肥前長崎に、平賀浅草という蘭学者があった。傴僂で片眼で醜かったが、しかし非常な博学
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浅草から品川まで、彼は一息に走って行った。浜御殿を筆頭に、大名屋敷
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八千石の大旗本、大久保主計の養女として、お杉は貰われて行ったのであった
大久保主計は安祥旗本、将軍家斉のお気に入りであった。それが何かの失敗
一生安楽に暮らせる程の、莫大な金をやろうという、大久保主計の申し出を、お粂が断わるはずがない。一も二もなく承知